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身につけて歩くだけで地図が作られる
オートマッピングシステム

2012.11.19

オートマッピングシステム
オートマッピングシステムは、地図ビジネスやエンターテインメントにも大きなインパクトを与えることになりそうだ。
Photo Credit: Patrick Gillooly

ゲームの世界では、プレイヤーが歩いた迷宮の地図が自動的に作られるオートマッピングシステムが当たり前になっている。MITの研究者は、現実の世界でもこうした地図作成を可能にするシステムを開発した。
ユーザーは、さまざまなセンサーがまとめられたパックを胸に取り付けて、建物内を歩き回る。センサーが得たデータは離れた場所にあるノートパソコンに送られて、ユーザーが移動するのに合わせてリアルタイムに地図が更新されていく。
ロボットにセンサーを搭載してオートマッピングを行うシステムについては先行研究があるが、人間にセンサーを装着させるのはロボットの場合よりもはるかに難しい。ロボットであれば、姿勢がぶれることもないし、車輪で移動するため移動距離の測定も行いやすい。しかし、人間の場合は、常に一定の姿勢を保っていられるわけではない。また、複数階あるビルを移動する場合は、現在の階数も認識する必要がある。
そこで研究チームは、さまざまなセンサーを組み合わせて、正確なデータを得られるようにした。中心になるのは、レーザー方式のレンジファインダーだ。レンジファインダーは、ユーザーの周囲270度にレーザーを照射して、近くの壁までの距離を計測する。レンジファインダーのほかには、加速度センサーやジャイロスコープ、カメラ、気圧計が搭載されている。ジャイロスコープはユーザーの体の傾きを検知し、加速度センサーや気圧計は現在の高度を計測するために使われる。また、数メートルおきにカメラが撮影を行い、ソフトウェア処理によって、周囲にある物体の3次元形状などの特徴を抽出するようになっている。ちなみにカメラは、マイクロソフトのゲーム機Xbox用のKinectのものを流用しているそうだ。こうした得たデータを元に、ユーザーが現在どこにいるのか分析される。
研究者らはこのシステムを災害時の現地調査などに利用することを想定しているという。

(文/山路達也)

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