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フレキシブルデバイスの実用化を加速する
グラフェン電極

2013.7.8

Secor博士らの研究チームが開発した、導電性が高いグラフェンのフレーク。

今後、伸びてくることが期待されているエレクトロニクス分野として「プリンテッドエレクトロニクス」が挙げられる。これはインクジェットなどの印刷技術を利用して、電子機器を製造しようというもの。一般的な半導体の製造プロセスでは真空・高温環境が必要になるが、印刷技術を使うことにより常温常圧の環境で低コストに製造を行えるようになる。また、柔らかい基板にトランジスターなどを印刷し、「曲げられる表示装置」のようなフレキシブルデバイスも作ることができる。
有機トランジスターやセンサーをインクジェットで作る研究は進んでいるが、大きな課題の1つは電極である。これまで、導電性の高い電極をインクジェットで作るのは困難だったが、米国ノースウェスタン大学のEthan Secor博士らの手法はブレークスルーになるかもしれない。
研究チームが開発したのは、導電性の高いグラフェン(炭素原子1層からなるシート状の構造)でできたインクである。以前からグラフェンをインクジェットで印刷して電極にする研究は行われてきたが、グラフェンをrGO(還元された酸化グラフェン)から生成するプロセスで界面活性剤を使用していたため、不純物が混じり、導電性が落ちる弱点があった。Secor博士らは、エタノールとエチルセルロースを使い、グラフェンに不純物が混じらない新しい生成手法を開発。これまでより導電性が250倍以上も高いグラフェンのフレーク(薄片)を得ることに成功したのだ。
研究チームは、このグラフェンのフレークを溶媒に溶かしてインクを作り、インクジェットプリンターでポリイミドという柔らかい素材の基板に出力。基板を大きく曲げても、ほとんど導電性は変化しなかったという。折り曲げられるスマートフォンの実現が、さらに近づいたと言えそうだ。

(文/山路達也)

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