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Wi-Fiや人工衛星などの電波を
電力に変換するデバイス

2014.1.14

メタマテリアルのアンテナセルを5つつなげたシンプルなデバイスで、マイクロ波から電気を取り出す
Credit: Duke engineers

電波や光、音、熱、振動など、自然環境からエネルギーを取り出す技術をエネルギーハーベスティングといい、現在数多くの研究機関で開発が進められている。高効率のエネルギーハーベスティングが可能になれば、バッテリーなしでも電子機器を長時間駆動できるため、大きな影響を社会に与えることになりそうだ。
デューク大学の研究チームが開発したのは、メタマテリアル(自然界の物質には無い振る舞いをする人工物質の総称)を用いて、マイクロ波を電気に変換するデバイス。メタマテリアルを利用することで、課題となっていた複数のアンテナセルを並べた時に発生する電磁干渉の問題が起こらないようにした。アンテナセルはガラス繊維と銅を組み合わせた構造になっており、サイズは4cm×4cm。これを5つつなげて1つのデバイスができる構造。このデバイスを使うことで、900MHzのマイクロ波を7.3ボルトの直流電流へ変換することに成功した。また、従来のメタマテリアルを利用したデバイスのエネルギーの変換効率は6〜10%だったが、5つのアンテナセルをつなげた構造にしたことで、太陽電池セルと同等の37%を達成した。
研究チームによれば、同じ原理を使うことで、Wi-Fiのほか、人工衛星からの信号や音波、振動など、多彩なエネルギー源から電気を取り出せる可能性があるという。また、部屋の天井をメタマテリアルでコーティングすることで、Wi-Fiなどの信号を無駄なく利用できるとのことだ。

(文/山路達也)

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