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民間月探査レース「Google Lunar X PRIZE」
で、日本の「チーム・ハクト」が中間賞を受賞

2015.3.9

GLXP中間賞の受賞対象となった、HAKUTOの「Moonraker」。

月面に無人のローバー(探査車)を送り込んで、走行させれば勝者となる。米国Xプライズ財団が主催する開発レース「Google Lunar X PRIZE」(以下、GLXP)には、世界各国から優秀な技術者が集まり、総額3000万ドルの賞金と栄誉を目指して競争を繰り広げている。
2015年1月、このGLXPの中間賞を日本初の民間月面探査チーム「HAKUTO」が受賞したことが発表された。
GLXPの勝利条件は、「ローバーを月面に安全に着陸させる」「月面で500m以上走行する」「HD動画を地球に送信する」を2016年末までに成功させること。それ以外に「水を発見する」といったボーナス賞も用意されている。
中間賞というのは、実際のミッションを再現した実地試験で、問題なく性能を発揮できることを証明したハードウェアやソフトウェアを表彰するもの。月面での撮影能力を評価する「イメージング」(3者に各25万ドル)、月面ローバーの性能を評価する「モビリティ」(3者に各50万ドル)、月面に着陸するための飛行および飛行制御能力を評価する「ランディング」(3者に各100万ドル)の3部門があり、HAKUTOが受賞したのはモビリティ部門である。
HAKUTOは、月面探査ローバー「Moonraker」と「Tetris」を開発し、2014年11月〜12月にかけて行われた振動試験、熱真空試験、フィールド走行試験などで良好な結果を出したことで、中間賞受賞に至った。
2013年のTelescope Magazine宇宙特集では、HAKUTOの開発を主導する吉田和哉博士(東北大学大学院教授)に、レース参加の経緯や開発中のローバーについて詳しいお話をうかがっているので、こちらもぜひ参照していただきたい。
中間賞を受賞し、最終的な候補に挙がっているチームは、HAKUTOを含めて全5チーム。2016年末までにはたしてどのチームが勝利するのであろうか?

(文/山路達也)

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