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光を求めて移動する、小型ロボットガーデン

2015.4.6

光センサーを搭載して、光合成に最適な場所へと自ら移動するSoybots。

植物には、光が差す方向に向かって伸びていこうとする性質がある。植物が成長する様子をビデオに撮って早回しに再生すると、まるで光を求めて動く動物のようにも見える。
そんな植物が、さらなる自由度を手に入れたら……。パデュー大学のShannon McMullen博士とFabian Winkler博士が開発した、「Soybots」は自然とテクノロジーの融合をテーマにしたアート作品だ。
ロボット掃除機をベースにした丸い土台の上には、マメ科の植物が植えられたプランターと、光センサーが搭載されている。Soybotsたちは、光合成を行うのに適した、より光の強い場所を求めて自律的に移動していく仕組みだ。あるSoybotsが日当たりのよい場所を占拠していると、後からやってきたSoybotsは諦めて(と実際に思っているわけではないだろうが)、別の場所を探し始める。
Soybotsがどれくらいの光を受けているのか、どこへ移動しているかといったデータは、展示会場の画面にリアルタイムに表示され、来場者のインスピレーションを刺激する。
紹介ビデオの中では、LEDの光に導かれたSoybotsがエスカレータに乗って別の階へ移動していく様子が映し出されていた。それは、もはや植物ではなく、テクノロジーによって生み出された新種の動物のようだ。
もちろん、このSoybotsがそのまま農業に応用できるわけではない。モーターを駆動して移動するためのエネルギー消費は、普通のプランターで栽培するよりもはるかに大きくなってしまう。研究チームが期待しているのは、Soybotsを見た人の間で活発な議論が起こることだ。
「光源に向かうロボットの動きを可視化することで、エネルギーの需要と消費量、バランス、そして太陽と電気エネルギーの比較といった議論が起こるでしょう」、そうWinkler博士は語る。

(文/山路達也)

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