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航空機から超小型人工衛星を
スピーディかつ安価に打ち上げる

2015.4.13

ALASAプロジェクトのコンセプトイメージ。航空機から人工衛星を低軌道に送り込む。 by DARPA

100kg以下という超小型人工衛星が世界的に注目を集めている。従来の1トン程度の小型衛星に比べて開発コストが大幅に安いのが特徴で、日本でも東大発のベンチャー、アクセルスペースが2013年に地球観測衛星を打ち上げた。Googleは、超小型人工衛星を使った画像サービスを手がけるSkybox Imagingを2014年に買収し、画像サービスに加えてインターネット網構築や災害支援を行うことを表明している。
民間企業にとっても人工衛星は身近になりつつあるが、大きなネックとなっているのは打ち上げだ。他の衛星とロケットを相乗りしたとしても、打ち上げコストは2億円程度かかり、打ち上げのスケジュールも柔軟に決められない。軌道上に適切に投入できるタイミング、打ち上げ場所、相乗りする衛星の重量等々、さまざまな条件を考慮して、数ヶ月〜年単位で計画を立てる必要がある。
こうした課題を解決するために、DARPA(アメリカ国防高等研究計画局)が進めているのがALASA計画だ。ALASAとはAirborne Launch Assist Space Accessの略で、航空機から人工衛星を低高度周回軌道に打ち上げるというもの。ジェット戦闘機の機体下部に人工衛星を搭載したポッドを取り付けて約1万2000メートルまで上昇し、ポッドを切り離す。ポッドは4つのメインエンジンを噴射して、低高度周回軌道まで上昇し、人工衛星を放出する。100ポンド(約45kg)の人工衛星を、1回あたり100万ドル以下のコストで、24時間以内に打ち上げることを目標にしている。
ALASA計画は、すでにフェーズ1(実現可能性の高いシステムのデザイン)を経て、フェーズ2に移行。フェーズ2では、軌道への衛星投入テストを12回行う予定で、事業者としてはボーイングが選定されている。フェーズ2で実現を目指している技術の1つが、ポッドのモノプロペラントエンジンだ。燃料と酸化剤を単一の液体にすることで、従来の方式よりもエンジンの構造を簡素化して、製造コストを下げることを目的としている。
DARPAはALASAのデモンストレーションを2015年後半に行う予定で、その後計画が順調に進めば、2016年には軌道投入テストが行われる。また、DARPAによれば、ALASAの技術は最終的には民間企業でも使えるようにするという。民間による人工衛星ビジネスがより一層加速していくことになりそうだ。

(文/山路達也)

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