Science News

ガラス越しに撮影した風景から、
反射した自分の姿を除去

2015.10.13

ガラス窓やフェンス越しに撮った写真から、障害物を自動的に除去できる。

スマートフォンに搭載されているカメラ機能の性能向上は著しい。画素数はかつてのプロ用高級機に匹敵する1,000万に達し、色再現性も高い。露出を変えた複数の写真を合成して、より現実に近い画像を作り出すHDR(high dynamic range)機能も、多くのスマホで標準機能となってきた。また、Lytroのように撮影後にピントや絞りを変えられるカメラも登場しており、今後はこうした機能がスマホに搭載される可能性もある。
GoogleとMIT CSAILが共同開発した新しい技術も、スマホユーザーには大いに歓迎されそうだ。これは、写真に写る障害物を自動で除去するアルゴリズムである。
Photoshopなどのフォトレタッチアプリを使えば写真に写り込んだ障害物を半自動で除去できるし、スマホによっては、自動的に障害物を写真から取り除く機能を備えているものもある。
今回の技術が従来と異なるのは、画像全体に写っているガラス窓やフェンスなどの障害物を、自動で除去できるという点だ。
研究チームが開発したアルゴリズムでは、カメラをパン(横方向に移動)しながら、短いビデオを撮影すると、そこから5枚の画像を抽出する。5枚の画像の相違点を検知して、前面にある障害物か、あるいは背景かを自動的に判別する。そして、ある画像の障害物を別の画像を使って置き換えることで、障害物の写っていない画像を生成するのだ。
このアルゴリズムのデモンストレーションには一般的なスマホが用いられているので、実際の製品に搭載されるのも時間の問題だろう。

(文/山路達也)

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