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未来のロボットや飛行機は、
変形自在のハイブリッドマテリアルで作られる?

2016.4.18

合金とシリコーンフォームでできたハイブリッドマテリアル。ある一定の温度で自在に形状を変化させられる。

まるで生き物のように、滑らかに形状を変化できるロボットや飛行機。コーネル大学Rob Shepherd教授らの研究チームが開発したハイブリッドマテリアル(http://mediarelations.cornell.edu/2016/03/21/video-morphing-metal-shapes-future-of-soft-robotics/)があれば、こういうSFの様なモノを生み出せるかもしれない。
現在、柔らかい素材でできたソフトロボットが様々な研究機関で開発されており、介護・医療、精密機械などの分野で活躍が期待されている。ただ、常に柔らかいソフトロボットは荷重のかかる仕事には向かない。もし、必要に応じて自在に変形し、なおかつ荷重にも耐えられる、そんな素材があったらロボットの応用範囲はさらに広がるのではないか?
そう考えたShepherd教授が開発したのが、硬い合金と柔らかいフォーム(泡状の物質)のいいとこ取りをした、ハイブリッドマテリアルである。使用する合金は、ビスマス(Bi:原子番号83の元素)や錫(スズ)、インジウムから成るField's metal。フォームはシリコーン(ケイ素樹脂)だ。Field's metalは、有害な鉛を含まず、融点が62℃と極めて低いため、お湯でも簡単に溶かすことができる。
このハイブリッドマテリアルは62℃にすると、柔らかくなって自在に変形でき、冷やせばその形を保持できる性質を持つ。再度、熱を加えれば元の形に戻る。軽微な損傷なら自己修復することも可能である。
現時点でのハイブリッドマテリアルはコンセプトの実証段階だが、将来的に耐久力を上げることができれば、速度によって変形する航空機や潜水艦なども実現できそうだ。

(文/山路達也)

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