No.006 ”データでデザインする社会”
Scientist Interview

鯖江オープンデータのはじまり

──鯖江市のオープンデータの取り組みは、具体的にはどのように始まったんですか?

福野 ── 2010年12月に、鯖江市が持っているデータをXML*10で出してください、そうしたらアプリをいろいろつくりますよ、という「データシティ鯖江」の提案に行きました。提案したそのタイミングで「やる」ということが決まって、びっくりしました。そのときに、秘書課課長で担当されていたのが牧田さんでした。

──牧田さんは、オープンデータのこの動きについて、最初はどう思いました?

牧田 ── XMLで公共機関がデータを開示する、ということには、以前から関心があり、市長から、とりあえず研究しろということで、取り組みを始めました。市長の街づくりの考えかたが、「市民協働」、「若者」、「IT」の3つだったので、福野さんの提案はドンピシャリでした。

──実際にデータを揃えてオープンにするところまではどのくらいの時間が?

福野 ── 一年くらいかかりましたね。IT推進フォーラムという取り組みで下ごしらえをしたのが2011年度。2012年は、"LOD(linked open data)チャレンジ"というオープンデータの世界的なイベントがあるから、それに向けてやりましょう、と牧田さんと話をしました。まずは簡単なものからということで、鯖江市の公衆トイレのデータからはじめました。

公衆トイレはそれほど沢山あるわけでもなく、また急に増えるものでもないので、はじめるのには丁度いいかなということで、リストと場所をXMLデータにしてもらいました。少しやりとりをしてデータを整理し、「データOKです」、ということになったら、次の瞬間鯖江市のウェブサイトにバーンと出て(笑)。そんなすぐ更新しちゃうんだ、とびっくりしました。(上記・鯖江市のWebサイト参照)そのオープンデータを使って、すぐにトイレの場所や、現在地からのルートを提示するアプリを作り公開しました。Twitterで「できました」という情報をリリースしたら、専門家の間で話題になって。"LODチャレンジ"で、公共LOD賞というのを頂きました。授賞式で専門家に事例をいろいろ聞こうと思って、「日本で一番進んでいるところはどこですか?」と聞いたら、「鯖江」と言われましたね(笑)。専門家の人に、「市長、この試みは素晴らしい。がんがん行きましょう」ということを言って頂き、市長にやる気になってもらいました(笑)。

[ 注釈 ]

*10
XML: Extensible Markup Language(エクステンシブ・マークアップ・ランゲージ)の略称。Web上の文書やデータを記述するための言語。

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