製品競争力

半導体やフラットパネルの技術は、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)の時代において、新たなビジネスモデルやライフスタイルの展開を支えています。このような状況の中で事業を継続的に発展させていくためには、付加価値が高く、競争力のある製品をタイムリーに提供することが重要です。東京エレクトロンは、最先端の開発に取り組み、革新的な技術を備えたネクストジェネレーションプロダクトを創出します。また、気候変動や資源枯渇などの地球環境問題の重要性を認識し、製品の環境負荷低減のためのさまざまな施策の実施に努め、次世代を支える革新的な技術と環境に配慮した製品により、持続可能な社会の構築に寄与してまいります。

研究開発

未来を見据えた研究開発

IoT時代の到来によりライフスタイルやビジネスモデルが大きく変化する中で、半導体の用途はあらゆる分野で拡大し、より一層の高度な技術が要求されていくと予測されています。当社では、人々の生活にエレクトロニクスがより身近になり、半導体がさらに欠かせないものとなる時代の到来に備え、中長期的な視点からTEL Technology Vision 2030を策定し、未来を実現するテクノロジーと当社の貢献について活発な議論をおこなっています。

開発体制

次世代へ向けた技術開発や技術融合を推進し、開発生産部門が事業部門と連携しながら、付加価値の高い製品をタイムリーに市場投入する体制を構築しています。2017年度は、山梨、東北の工場を統合し、東京エレクトロン テクノロジーソリューションズを設立。当社の強みである成膜技術に関するリソースの一元化、プロセスインテグレーション機能の強化をおこないました。さらに東京エレクトロン宮城では、エッチング製造装置の技術革新を加速するため、新たな開発棟の建設を開始し、業界トップクラスの開発環境を整えています。

知的財産マネジメント

当社は、知的財産の保護を通した事業活動のサポートにより、企業収益の向上に貢献することを基本方針としています。開発・製造拠点および本社に配置された知的財産担当者が研究開発からマーケティングまでさまざまな角度から検討し、技術・製品戦略に沿った知財ポートフォリオを構築することで、知的財産マネジメントにおける競争力の向上に努めています。

2017年度は、当社グループ内の知的財産を一元管理するシステムを稼働しました。世界中の当社関係者がこのシステムにアクセスすることができるようになり、グローバルに展開される開発活動のサポート体制を強化しました。自社の知的財産保護・活用のために実施されたグローバル出願率*は7年連続で約70%を維持し、特許許可率も日本で71.5%、米国で78.0%(2017 年)と、高い割合を維持しています。開発戦略の礎となる技術者に対しては、知的財産権への意識を高める教育を継続的に実施しており、累計約3,900名が発明者となっています。

* グローバル出願率: 複数国に出願される発明の割合

コンソーシアムとの協業

当社では、自社の研究開発力を強化するとともに、国内外のコンソーシアムと協業しながら、最先端技術の開発に取り組んでいます。

米国ニューヨーク州では、アルバニー ナノテクメガプレックスに2003年設立当初から参画しています。ここでは、世界のデバイスメーカー、半導体製造設備メーカーが参加し、フルフローの半導体製造ラインが構築されており、横断的なプロセス開発と実効性の検証が可能です。また、実際の製造現場に近い環境を生かし、お客さまの具体的な課題解決に向けた共同研究もおこなっています。当社の100名以上の技術者が世界最高レベルの開発環境のもと、ビジネスに直結した次世代の半導体装置、プロセスの研究に取り組み、効率的な開発を進めています。

技術革新への挑戦

ロジックとメモリの融合

IoT時代を迎え、データセンターでは情報の解析や画像の分析など膨大なデータ処理がおこなわれるようになり、半導体デバイスの消費電力増加が課題となる中、人間の神経回路をヒントにしたニューロモーフィック・デバイスが注目されています。同一の処理をおこなう際、データセンターで使われるコンピュータでの消費電力は数十kWにもなりますが、人間の脳では20W程度。動作周波数*1においても、現在の半導体デバイスが5GHzに対して、人間の脳は数十Hz程度です。ニューロモーフィック・デバイスでは、従来のマイクロプロセッサがロジックとメモリで役割分担していた処理機能・記憶機能をシナプス結合*2で融合し、人間の脳のように少ない消費電力で高度な情報処理を可能にします。

当社では、自社の強みである成膜技術やパターン技術などを生かしながら、ニューロモーフィック・デバイスや量子コンピュータなど、次世代コンピューティングに必要な新しい材料やそれを活用するための製造プロセスの研究に着目し、取り組みを進めています。

*1 動作周波数: 複数の電子回路が処理の歩調を合わせるために用いる信号が、1秒当たり何回発生するかを示す値。コンピュータの処理性能を示し、高ければ
  高いほど消費電力も大きくなる
*2 シナプス結合: 学習や記憶に重要な役割を持つとされているニューロン(動物の神経系を構成する細胞)同士の間に形成される接合部。

AI技術の活用

当社は、より効率的で安定した装置稼働を実現するため、AI*1の活用を推進しています。海外の大学への留学などを通じて機械学習の専門家の育成を強化する他、2017年にはAIを活用した技術革新を担う専門部署および横断的なデータ活用を企画する部署を設置し、企画、マーケティング、開発活動をグループ全体で推進する組織体制を整えています。

このような体制のもと、装置から出力される膨大なデータをAIによって解析し、装置のコンディションを予測・制御する取り組みを進めています。自社の半導体製造装置の稼働状態をインターネット経由でリアルタイムに把握、そのデータをAIで解析することにより、装置のパフォーマンスの維持やウェーハ加工精度の均一化、予期せぬダウンタイムの回避などお客さまのご要望の実現を目指しています。


* AI: Artificial Intelligenceの略。人工知能

進化するディスプレイへの対応

FPDは、液晶技術の進化とともに人間の網膜では識別できないほどの高い解像度へと進化してきました。近年、スマートフォンを中心に、より鮮やかな画面をより少ない電力で映し出す有機EL ディスプレイの採用も進んでいます。これらの進化を支えているのが、ガラス基板上に微細な電子回路を形成する技術であり、中でも当社の装置はエッチング工程において広く採用されてきました。

当社は、業界で初めてICP*1という高密度プラズマ生成技術を採用し、さらにこの技術を進化させたPICPTM*2を開発しました。PICPTMは従来のICP に比べ、よりプラズマを均一に生成させることで、微細なエッチングを可能とし、基板全体に均一的な微細回路の形成を実現しています。またこの技術は、品質安定、生産性向上をもたらし、消耗部品の交換サイクルも長くなるなど、環境負荷の低減にもつながっています。

今後は高精細、低消費電力、Free Form*3、Flexible*4、タッチUI*5などが期待されており、これらを実現するためにはさらなる微細な回路形成が不可欠です。当社は最先端のディスプレイに要求される、微細かつ均一な回路形成を可能にすることで、今後のディスプレイの進化・発展に大きく貢献していきます。

  • Betelex™

  • Impressio™

*1 ICP: Inductively Coupled Plasma
*2 PICPTM: Planar Inductively Coupled PlasmaTMの略。パネル基板上に極めて均一な高密度プラズマを生成するコンセプトを示す呼称
*3 Free Form: 曲面型ディスプレイ
*4 Flexible: 自在に変形可能なディスプレイ
*5 タッチUI: タッチユーザーインターフェースの略。ディスプレイなど表面に触れることで操作可能なユーザーインターフェース


Executive message

IoT時代の幕開けとともにますます進化する半導体・FPD業界へ、私たちはそれを上回るスピードで競争力のある新技術や新製品を開発し、顧客価値創造を発信していきます。
私たちは、保有するさまざまな技術と大学や協力企業さまなどの外部の技術を組み合わせ、融合し、新たな価値創造にチャレンジし続けます。チャレンジには失敗がつきものです。私たちは前向きな失敗は将来の成功を呼び込むものと考えています。数多くのチャレンジが、組織を活性化し、人材を育成し、革新的な技術や製品を生み出すことで、将来の顧客価値創造に貢献していくと信じています。

常務執行役員
第四開発生産
本部長
田原 好文

製品の環境貢献

バリューチェーン全体のCO2排出量

当社は、バリューチェーン全体における環境負荷を認識し、事業活動をおこなうことが重要であると考えています。当社は、Technology for Eco Lifeのスローガンのもと、最先端の技術と確かなサービスで、環境問題の解決を目指します。

スコープ1: 自社が所有または管理する燃料・ガス使用の排出源から発生する温室効果ガスの直接排出
スコープ2: 自社が購入した電気、蒸気、熱の使用に伴う温室効果ガスの間接排出
スコープ3: スコープ1、2 を除く製品輸送、社員の業務上の移動、アウトソーシングした主な生産工程など企業のバリューチェーンからの排出
※スコープ3は、上流活動(購入または取得した製品・サービスに関連する排出)と下流活動(販売した製品とサービスに関連する排出)に分けられる

当社グループのスコープ1およびスコープ2の合計は152千tである一方、スコープ3は、合計5,855千tと全体の約97%を占めています。特にその中でも、販売した製品の使用でのCO2排出量が5,382千tと全体の90%を占めていることから、当社は、稼働時のCO2排出量の少ない製品の開発が重要であると考えています。

持続可能な社会に貢献する製品

当社では、バリューチェーンにおけるCO2排出量のうち、製品使用時のCO2排出量が全体の90%を占めています。そのため、環境に配慮した製品設計を推進することが企業活動において重要と考え、製品の省エネルギー化に取り組んでいます。

当社は、2014年度に設定した「エネルギーおよび純水の使用量を、2018年度までに2013年度比で10%削減する」という目標に向けて、エネルギー使用量の削減や、スループットの向上に努めています。その結果、2015年度には1機種、2016年度には3機種において目標を前倒しで達成しました。また、目標を達成した機種についても、継続して取り組みをおこなっています。例えば、2016年度に10%削減目標を達成したテストシステム「PrecioTM XL」において、2017年度は省エネモーターへの変更を導入することなどにより、ウェーハ1枚当たりの消費電力をさらに20% まで削減しました。また、2017年度の自社基準による省エネルギーモデルの売上比率は92.8%となりました。

さらなる環境負荷低減を実現するためには、装置だけでなく、周辺機器や関連設備、ひいてはお客さまにおける工場運用まで考慮する必要があると考えています。今後は、装置システムの効率的な運用と、お客さまの工場全体の省エネルギー運用の重要度が増していくと見込まれる中、当社はエネルギーのモニタリングと制御に注力して活動を進めていく方針です。

製品に関わる環境法規制における取り組み

当社は、製品に関わる各国の環境法規制を遵守するために、早期に情報を収集し、適切な対応に取り組んでいます。例えば、EU REACH 規則*1への取り組みとして、成形品中の高懸念化学物質の含有を調査し、適切な情報提供をおこなっています。また、GHS*2規制への取り組みとして、化学品を販売する際は、安全データシート(SDS)を提供しています。

2017年度は、新しい環境ITシステムを導入し、サプライチェーンとのより効率的な情報共有を可能としました。また、頻繁に改正される環境法規制の説明と対応について、全従業員を対象とした「製品環境法規制適合講座」を引き続き実施しています。お取引先さまに対しても、各環境法規制情報の提供をおこなっております。なお、2017年度は環境法規制に対する違反はありませんでした。

今後も、各国環境法規制の情報を迅速に把握するとともに適切な対応に努めてまいります。


*1 EU REACH 規則: EU Registration,Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals の略。化学物質の登録、評価、認可、制限に関する規則
*2 GHS: Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals の略。化学品の分類および表示に関する世界調和システム

物流における取り組み

近年物流に対する規制が強化され、環境負荷低減の要求が高まる中、当社はモーダルシフト*など環境負荷低減に向けた活動を推進しています。

* モーダルシフト: 自動車や航空機から、より環境負荷の低い鉄道や船舶などに輸送手段を転換すること

その他のマテリアリティ