製品競争力の強化

TELの研究開発

未来を見据えたイノベーションの追求

エレクトロニクスがより身近になり、半導体がさらに欠かせないものとなる時代の到来に備え、東京エレクトロンでは、未来を実現するテクノロジーと当社の貢献について、中長期的な視点から活発な議論を展開しています。当社の技術を用いて、あらゆる産業で重要性が高まる半導体の進化に寄与し、より豊かで快適な社会の実現に貢献します。

研究開発拠点

当社では、最先端技術を追求し製品競争力を強化するため、国際的なコンソーシアムとの協業を進めています。

当社が長年にわたって協業しているコンソーシアムの一つがimec*1です。imecには、当社の重要顧客である大手半導体メーカーの他、さまざまな半導体製造装置メーカーが参画し、未来の半導体技術革新につながる新技術、新材料、リソグラフィなど、あらゆるテーマで共同研究を進めています。世界を代表する半導体メーカー、半導体製造装置メーカーがそれぞれの立場から最先端の知見を持ち寄るコンソーシアムを活用することで、効率的な次世代製造装置の技術革新が可能となります。

imecでの協業から、世界の有力企業とのコラボレーションも生まれています。大手光学機器メーカーと最先端リソグラフィ分野であるEUV*2技術、および微細パターン形成技術の主流となっている液浸ArF*3技術において、最先端の装置環境のもと、共同開発に取り組んでいます。

このような国際的コンソーシアムとの協業は、エンジニアの人材育成にもつながります。imecには、当社から約10名のエンジニアが現地に駐在し、競合他社も含めた一流のエンジニアや研究者たちと切磋琢磨し、自身の技術力に磨きをかけています。


*1 imec: Interuniversity MicroelectronicsCentre ベルギーのルーヴェン市に本部を置く国際研究機関
*2 EUV: Extreme ultraviolet lithography極端紫外線を用いた次世代リソグラフィ技術
*3 液浸ArF: フッ化アルゴン(ArF)エキシマレーザーを光源とし、レンズとウェーハの間に液浸用液体として水を用いたリソグラフィ技術

研究開発組織

研究開発費の推移

研究開発について

知的財産の保護と活用

当社では、「知的財産(知財)の保護を通した事業活動のサポートにより、企業収益の向上に貢献する」ことを知的財産活動の基本方針としています。この方針のもと、研究開発部門のある各製品開発・製造拠点および営業・マーケティング部門が集まっている本社にそれぞれ知財担当者を配置しています。知財担当者は、事業部門と密に連携しながら、技術・製品戦略に沿った知財ポートフォリオの構築や他社動向把握による紛争リスクの最小化に努めています。

当社は、自社およびお客さまが事業を展開する地域における知的財産の保護・活用のため、各国に特許出願を行っています。グローバル出願率*は、6年連続で約70%を維持し、特許許可率も、日本で66.5%、米国で72.3%(2015 年)と、高い割合を維持しています。

このように、当社はグローバルな体制のもと、戦略的なポートフォリオを構築し、自社製品の差別化や競争優位性の強化を通して企業収益の向上を図っています。

* グローバル出願率: 複数国に出願される発明の割合

価値創造に向けた技術革新への挑戦

半導体の進化を支える革新的な製造技術 -3D NAND-

3DNANDの製造技術の発展による量産化の実現は、パソコンやスマートフォンといった電子機器の高機能化を支えるだけでなく、社会の省エネルギー化にも貢献することができます。例えば、データセンターで使用されている膨大な数のHDD*1がSDD*2=3D NANDに置き換わることで、計り知れない消費電力の節約が期待されます。

当社では、次世代の半導体メモリとして需要が拡大する3D NAND向けの技術開発を進めています。半導体は、主に回路線幅を微細化することにより、集積度*3を上げてきました。しかし、NANDデバイスの回路線幅は今や、15nm*4という領域に達し、セル(記憶素子)に蓄積できる電子数が極端に少なくなり、物理的限界を迎えようとしています。こうした中で、さらなる高集積化への解決策として登場したのが、半導体チップにセルを24層、48層と縦方向、すなわち3次元に積み上げて、電極を貫通させる3D NANDです。3D NANDをつくるには、これまでとは全く異なる製造技術が求められます。

その一つが、3次元構造を実現するための多層成膜技術です。3D NANDでは、2つの異なる膜を重ねて何層にも積み上げることが求められますが、そこには「2つの異なる膜を300mmのウェーハにいかに均一に成膜するか」「成膜の際に使用するガスによる反応をいかに制御するか」といった難しさがあります。また、多層成膜されたウェーハに、「ホール径100nm、深さ2.8μm*5を超える高アスぺクト比*6のホールをあける」といった、3D NANDならではの高度なエッチング加工技術も求められます。

当社は、多様な製品群を取り扱う総合的な半導体製造装置メーカーとして、蓄積された技術をもとにこれらの技術的な課題の解決に向けて製品開発を進めています。

*1 HDD: Hard Disk Drive(ハードディスク装置)、情報を記録し、読み出す補助記憶装置の一種
*2 SSD: Solid State Drive (ソリッドステートドライブ)、NANDフラッシュメモリを記憶媒体とする半導体ディスク装置。高速で消費電力が少なく、ランニングコストの大幅な削減をもたらし、データセンタ向けの需要が伸びている
*3 集積度: 半導体集積回路一個当たりに組み込まれた素子の数
*4 1ナノメートル=百万分の1ミリメートル
*5 1マイクロメートル=千分の1ミリメートル
*6 アスペクト比: ウエーハ上に形成されたパターンの深さと幅の比

半導体製造装置のインテリジェント化 - AI -

当社は、AI*1を活用して、自社で製造している半導体製造装置のインテリジェント化を進めています。半導体製造装置は、数十nm という目には見えない世界で加工を行うことができる装置です。ナノスケールの世界を、データとAI の力によって可視化し、装置のコンディションを予測することに取り組んでいます。装置から出力される膨大なデジタルデータ(装置の稼働ログ、センサー、測定データなど)をAI によって解析し、「予期せぬダウンタイムの回避」「稼働中の装置のパフォーマンス維持」「ウェーハ加工の精度の均一化」などにつなげていくため、現在、さまざまなアプリケーションを開発しています。

当社では、すでに自社の半導体製造装置の稼働状態を、インターネット経由でリアルタイムに監視する遠距離診断サービス「TELeMetrics™」*2を展開していますが、それをさらに進化させ、自らがコンディションを診断、調整し、自律的に運転する装置の実現を目指します。

*1 AI: Artificial Intelligence(人工知能)の略

*2 TELeMetricsは、東京エレクトロン株式会社の日本およびその他の国における登録商標または商標です。

高付加価値ディスプレイ生産技術の開発 -有機EL ディスプレイ-

有機化合物からなる発光ダイオード(LED)を利用した有機EL ディスプレイは、液晶ディスプレイと異なり電流を流すと自ら発光するため、バックライトなどの光源が不要です。そのため、低消費電力で高品質な画像が得られる次世代の表示素子として期待されています。従来、有機発光層は、蒸着方式によって真空中で成膜されていました。しかし、当社の有機EL パネル製造用装置は、有機発光層の成膜にインクジェット方式を用いています。これは、大気中で大型ガラス基板に有機材料を必要量だけ吐出して成膜することが可能な手法であり、材料使用量の削減とパーティクル(微細なゴミ)の低減など、生産性向上を実現しています。引き続き成長が見込まれる大型テレビ市場の需要に向け、最先端のインクジェット技術を核に、塗布後の乾燥・焼成工程までを含むシステムの開発に取り組み、有機EL ディスプレイの生産性向上とそれによる市場拡大に寄与してまいります。

* Eliusは、東京エレクトロン株式会社の日本およびその他の国における登録商標または商標です。

製品の環境貢献

持続可能な社会に貢献する製品

当社では、GHGプロトコル*1に基づく原材料調達、製造、輸送、使用、廃棄などのバリューチェーンにおけるCO2排出量のうち、製品使用時のCO2排出量が全体の90%を占めています。そのため、環境に配慮した製品設計を推進することが企業活動において重要と考え、製品使用時の環境負荷を低減すべく、製品の省エネルギー化に取り組んでいます。2014年度に設定した「エネルギーおよび純水の使用量を、2018年度までに2013年度比で10%削減する」という目標に向けて、エネルギー使用量の削減や、スループットの向上に努めています。2015年度に目標を達成した「枚葉成膜装置 Triase+™ EX-II™ TiN Plus」に続き、2016年度は「ウェーハプローバ Precio™ XL」「ガスケミカルエッチング装置Certas LEAGA™」「コータ/ デベロッパ CLEAN TRACK™ LITHIUS Pro™ Z」の各種装置において、予定より早い目標値の達成となりました。また、省エネルギーモデル*2の売上比率も上昇し、2016年度は93.9%となりました。

さらなる環境負荷低減を実現するためには、装置だけでなく、周辺機器や関連設備、ひいてはお客さまにおける工場運用まで考慮する必要があると考えています。今後は、装置システムの効率的な運用と、お客さまの工場全体の省エネルギー運用の重要度が増していくと見込まれる中、当社はエネルギーのモニタリングと制御に注力して活動を進めていく方針です。また、半導体業界においてエネルギー評価の標準とされているSEMI S23においても、これらの重要性をアピールしていきます。

目標達成に向け、新たな技術開発、さらなるエネルギー・水・化学物質の削減を推進するとともに、温暖化ガス対策にも積極的に取り組み、環境にやさしいものづくりを進めてまいります。

*1 GHGプロトコロル: 温室効果ガス(Greenhouse Gas: GHG)排出量の算定と報告の基準のこと
*2 自社基準による
Triase+ EX-II、Precio、Certas LEAGA、CLEAN TRACKおよびLITHIUS Proは、東京エレクトロン株式会社の日本およびその他の国における登録商標または商標です。

製品含有化学物質における取り組み

当社は、環境に配慮した製品づくりのために、製品に含まれる有害化学物質の管理体制を構築するとともに、各国法規制について早期に情報を収集し、法令を遵守すべく適切な対応に取り組んでいます。2016年度は法律や規制に対する違反や処罰はありませんでした。

また当社は、EU REACH 規則*1に基づき、製品に高懸念化学物質が0.1%以上含まれる場合には適切な情報提供を行っています。加えて、GHS*2規制に基づき安全データシート(SDS)を提供しています。そして、EU REACH 規則、China RoHS*3などの法規制により効率的に対応するために、2015年4月から国内取引先さまに対しJAMP AIS*4による含有化学物質調査を開始しています。2016年度は、製品含有化学物質のサプライチェーンにおける管理の強化を目指して、ITシステム強化のための設備投資を行いました。

また社員教育にも力を入れています。実務管理職だけでなく実務担当を含む全従業員に対象を拡大し、「製品環境法規制適合講座」を実施しています。頻繁に改正される環境法規制の概要や対象化学物質などの説明、ならびに理解度テストから構成される本講座を、2016年度は97%の従業員が受講しました。

今後も、各国法規制の情報を迅速に把握するとともに適切な対応に努め、有害化学物質の削減に向けた取り組みを推進してまいります。

*1 EU REACH規則: EU Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicalsの略。化学物質の登録、評価、認可、制限に関する規則
*2 GHS: Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals の略。化学品の分類および表示に関する世界調和システム
*3 China RoHS: 中国における鉛、水銀、カドミウム、6価クロム、PBB(ポリ臭化ビフェニル)、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)に対する規制で、お客さまに対する必要情報の提供が求められる
*4 JAMP AIS: Joint Article Management Promotion-consortium Article Information Sheet の略。アーティクルマネジメント推進協議会が推奨する製品含有化学物質情報を伝達するための基本的な情報伝達シート