顧客対応力の強化

顧客ニーズ把握のための体制

体制構築

東京エレクトロンは2016年、製品群に基づくビジネスユニットを軸とした組織体制にお客さま(アカウント)の軸を加え、グローバル市場の拡大に合わせた体制へ組織改革を行いました。製品個別の専門技術に特化した人材とお客さまのニーズの取り込みを専門とする人材が連携しながら、よりグローバルで付加価値の高いサービスの提供を目指しています。

情報とベストプラクティスのシェア

当社では、顧客対応力の強化に向けて、全社レベルでナレッジマネジメントを推進しています。ナレッジマネジメントとは、従来は個人がもっていた暗黙知を企業内で共有し、新たなイノベーションを促し全体的な生産性を向上させるための管理手法です。ナレッジを共有する力が弱くなりがちな異なるビジネスユニット間や、海外拠点の間をつなぎ合わせることで、TEL全体としてのベストプラクティスをつくり、高質なサービスをお客さまに提供できるよう努めています。2016 年は、世界各国のリーダー人材を集めて「Global Service Committee」を開催。全世界で約3,000 名のサービス業務に携わる人材の有効活用とサービスレベルの向上に向けて、作業工数管理、スキル管理、教育方法についてグローバルでの統一基準づくりをスタートしました。

また、セールス業務においても、「高精度な受注予測システムの構築」「セールス担当者一人ひとりの戦略的思考の強化」など、情報とベストプラクティスの全社共有による事業オペレーションやセールス活動のクオリティアップに取り組んでいます。

人材の強化

当社では、2016 年に設置したグローバルフィールド本部を中心に、ワールドワイドでフィールドエンジニアの教育システム、教育環境の構築に取り組んでいます。フィールドエンジニアが、メカ、電気、ソフトウェアなど、装置を扱うための基本技術だけでなく、お客さま視点で物事を考える力、すなわちサービスセンスをも習得することで、顧客対応力の強化を生み出しています。また、e ラーニングを充実させることによって、装置本体などの実機がなくても世界各地で質の高いトレーニングを受けることができる環境づくりを推進しています。

顧客価値創造のためのソリューション

インテグレーテッドソリューション

高度な技術課題を解決する多彩な製品群を有する当社は、世界的に数少ないマルチプロダクトサプライヤーとして、お客さまの製造プロセス全体を最適化する提案が求められています。5nmといったナノレベルの領域でも安定したデバイスの製造を可能にできるかが問われる現在、多彩な製品群を有する当社としての強みを活かし、個々の製造装置に精通したスペシャリストと、お客さまの生産活動全体をテクノロジーの視点でまとめる統括責任者の両者の連携により、総合的・統合的なプロセスソリューションを提案・提供することで最先端のものづくりを支えています。

製造プロセスの垣根を越えた課題解決の提案

半導体に数nm領域といった超微細加工が求められる現在、複数の製造プロセスの装置群を組み合わせて、製造工程の全体を最適化しなければ、超微細なパターンは形成できません。例えば最先端の半導体でアスペクト比の高いコンタクトホールを開けようとする場合、ウェーハ上に現像されたマスクパターンに従って、不要部分を除去して溝を掘り、穴を開けるエッチング工程だけでなく、その前工程で行われるマスクの作成あるいはマスクの材料自体ともセットで検討することが求められます。こうした複数の製造プロセスにわたる検討と対策立案ができるのは、多彩な製品群を有する当社の強みです。多彩な装置群の技術を融合し、お客さまのパートナーとして最先端の開発戦略をサポートしています。

フィールドエンジニアによる現場での課題解決

当社のフィールドエンジニアは、お客さまの生産現場に密着しながらプロアクティブな提案活動に努めています。その一つがコータ/デベロッパ レジスト塗布現像装置*での計画的な「予知保全」の実施です。この装置には、シリンダを使った駆動部が100 モジュール近くあり、故障や交換による生産効率のロスが問題となっています。お客さまの装置が最大限に稼働するよう、駆動部の状態を常にチェックし故障や異常の前兆を捉えて対策を取ります。その他にも、お客さまの装置使用状況に精通したフィールドエンジニアが装置アラームログ情報などを解析し、より高品質・高稼働状態でご使用いただくための改善提案など、お客さま視点でのサービス提供に取り組んでいます。

* コータ/デベロッパ レジスト塗布現像装置: 半導体製造プロセスのうち、写真と同じ技術を利用したフォトリソグラフィープロセスにおいて、フォトレジスト(感光剤)の塗布と現像を行う装置

IoTで広がる事業機会

あらゆるモノがネットワークにつながるIoT 時代の到来により、半導体の重要度がますます高まっています。医療・教育・金融・自動車・航空・宇宙・安全・環境など、幅広い領域で半導体が使われるようになる中で、半導体製造装置に対するニーズは多様化しています。従来までは、パソコンやモバイル機器といったシステムの“頭脳”を担うMPU*1やDRAM*2の需要が中心であり、半導体の微細化、高集積化とともに半導体製造装置も進化してきました。近年は半導体の多様化に伴い、サーバ、自動運転、AI 活用などビッグデータの処理を支える高性能な半導体に加え、“目”や“耳”に当たるセンサー、あるいはパワーデバイス、ディスクリート、アナログ半導体など、汎用半導体の需要も高まっています。それに伴い、お客さまである半導体メーカーにおいては、最先端技術を用いた当社装置の需要に加えて、既存技術を用いた装置の需要も拡大しています。業界最大の6 万台以上の装置納入実績を有する当社は、一世代前の200 mmと300 mmの装置について認定中古機も提供しています。また、既存装置を継続使用するために必要な改造やアップグレード、サービスやパーツを提供するなど、さまざまなお客さまのニーズへの対応にも取り組んでいます。

*1 MPU: Micro-processing unitの略。マイクロプロセッサ。主にコンピュータの演算機能を担う半導体チップのこと
*2 DRAM: Dynamic Random Access Memory の略。コンピュータなどに使用される半導体記憶素子の一つ

お客さまの安全のために

情報提供

当社では、危険性の高い化学物質や高電圧を使用する製品を安全に扱っていただくために、お客さまへの十分な情報提供を心がけています。すべての製品には必ず、「TEL 安全と環境に関する指針」という全社共通のマニュアルを添付しています。情報が整理、統一されたこのマニュアルには、製品を使用する際に想定される危険性とその回避方法が、化学的、電気的、機械的、人間工学的といったカテゴリごとにまとめられ、説明されています。また、製品に施されている安全対策や、製品の廃棄方法などについても説明されています。このマ ニュアルは10言語*に対応しており、世界中のお客さまに、より正確に情報を理解していただくよう 努めています。さらに、装置固有の危険性を回避し、安全な操作やメンテナンスを実現するための手順を詳細に記載したマニュアルも添付し、装置を安全に使用していただくための対策に取り組んでいます。

また当社製品は、お客さまの新しい製造ラインへ製品を納入する際の安全にも細心の注意が必要とされます。当社の規程に基づいた、施設や設備、安全作業基準などの確認を事前に実施し、納入前に安全な作業環境を整えてから作業を行うよう努めています。

* 10 言語: 日本語、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、オランダ語、ロシア語、韓国語、中国語(繁体字)、中国語(簡体字)

トレーニング

当社では、お客さまに安全に当社の製品を扱っていただくため、装置の操作方法やメンテナンス方 法に関するトレーニングを実施しています。世界中のお客さまに対応できるよう、当社の拠点を中心 にトレーニングセンターを設置し、約80名のインストラクターが実技を含めたトレーニングコース を提供しています。また、お客さまの工場で実施するオンサイトトレーニングやウェブサイトで受講 できる Web ベーストレーニングにも対応しています。2016年度にお客様に受講いただいた日数は、 通算約9,500日となりました。

加えて、トレーニングを実施するインストラクター向けの認定制度を導入することで、常に質の高 いトレーニングが提供できる体制を構築しています。また、トレーニング受講後のアンケートで満足 度を測るとともに、プログラムの内容や設備に対する意見を収集し、改善に結びつけています。

お客さま満足度調査

当社では、お客さまからいただいた評価内容を継続的改善につなげるために、「顧客満足度調査(TEL CS Survey)」を毎年実施しています。

この調査は、2003年に一部の部門から開始されました。当社はこれまでに、調査設問、調査方法、分析手法、お客さまへの改善フィードバックや活動全体の運営に至るまで、あらゆる改善を重ねてきました。加えて顧客満足度のさらなる向上を目指し、2014年からは半導体製造装置全部門へ拡大、2016年からはFPD製造装置部門および海外の現地法人へも展開するなど、会社全体の重要な課題と位置づけて取り組んでいます。調査票には、お客さまの声を多角的に分析できるよう具体的な設問を設け、営業部門、開発・生産部門、サービス部門が実務レベルで改善活動につなげることができるよう工夫しています。

調査結果を確実に顧客満足につなげるべく、2016年よりプロダクト(製品)での分析に加えて、アカウントごとの分析や機能(ソフト、開発など)の分析を開始しました。これらの分析に基づき、当社の専任担当者がいただいたご意見に個別に対応し、サービス改善に努めています。また機能の分析によって、各プロダクトに共通する課題も新たに洗い出されました。さらなる多角的な分析と、改善活動の加速に向けて、寄せられた回答は即座に関係部門に共有される仕組みも構築しました。

このような新たな体制のもと実施した2016年度の顧客満足度調査では、約1,300名(全体の61.6%)のお客さまから回答をいただくことができました。満足度に関しては、4点満点中3点以上(大変満足または満足)の評価を、67.6%(前年度62%)の調査項目で獲得しました。当社は顧客満足度調査を通じて得られた貴重なご意見や分析結果、改善すべき課題について、改善のためのアクションを確実に実施いたします。そして今後のサービス改善や製品開発などに活用していくとともに、お客さまとの調査結果、改善計画の共有を継続して実施し、全社一体となって顧客満足度調査を起点とした改善活動を推進していきます。