顧客対応力

東京エレクトロンではお客さまのご要望を的確かつタイムリーに把握し、先の世代を見据えた革新的な技術を提供することにより、お客さまの最先端デバイスの製造に貢献します。多彩な製品群を有する装置メーカーとして、お客さまの価値創造に寄与する最適なソリューションの提案をおこないます。また、最先端のAIやデジタル技術を駆使し、装置の安定稼動をサポートする付加価値の高い保守サービスを提供します。創業以来、重要な経営テーマとして取り組んでいる顧客満足度のさらなる向上に努め、お客さまにとって唯一無二の戦略的パートナーとなることを目指します。

顧客価値創造

顧客価値創造のための体制構築

半導体市場は、IoTの加速や世界での5Gの商用サービスの開始、また車の自動運転など機器同士の通信の成長とともに、大きく拡大しています。2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、外出・渡航の制限や隔離措置など、世界各国のさまざまな規制に直面する中、グローバル各拠点との連携を強化し、事業を継続的に展開できるよう東京エレクトロン全体での活発なコミュニケーションの維持に積極的に取り組みました。さらにリモートツール運用の拡充をおこない、営業活動はもとよりサービスサポートにおいてもお客さまに付加価値の高いソリューションを間断なくご提供できるよう体制のさらなる強化に努めました。

2018年より、従来からの大手半導体メーカーのお客さまを対象に、メモリ、ロジック、ファウンドリなどの次世代の最先端技術のニーズをもとに、新技術開発につなげていく「Account Sales本部」と、IoT市場に向けた通信デバイスやイメージセンサー、またパワーデバイスなどを取り扱う100社を超える国内外のお客さまのご要望に対応する「Global Sales本部」の2つの本部のもと、顧客対応力のさらなる強化に努めています。それぞれのSales本部では各ビジネスユニット、さらには海外現地法人との密接な協力関係をより強く築くことで、お客さまの求める技術やサポート、ソリューションを迅速に提供しています。当社では、お客さまの製品開発や製造オペレーションにおける課題や要請などを的確に把握し、それらをタイムリーに主要な開発や製造拠点にフィードバックしています。そのため、当社とお客さまを現場でフロントラインとして結ぶ装置据付や保守などに携わるエンジニアのさらなるレベルアップに取り組んでいます。また、市場の変化に伴うお客さまのニーズに迅速かつ的確に応えるため、グローバルな組織を構築し、プロアクティブかつ柔軟なオペレーションを展開しています。

さらに当社では、サービスサポート活動におけるさらなる品質の向上や安定化のため、グローバルで統一された仕組みやシステムの構築を進めています。国内関連部門および海外現地法人のサービスリーダーが定期的に集まるグローバルサービスコミッティでは、全世界に4,000名以上いるフィールドエンジニアの技術および対人スキルアップ、スタートアップの現地化、数管理システムによる作業効率の向上などに関する情報共有や社内連携を強化しています。トータルサポートセンター(TSC)*¹では、遠隔保守サービス「TELeMetrics™*²」を運用し、当社がもつ知見や各種ツールを活用することで、お客さまのさまざまな課題に対し、カスタマイズされたソリューションの提案をおこない、より付加価値の高いサービスを提供しています。

*1 トータルサポートセンター(TSC): サステナビリティレポートP.23参照
*2 TELeMetrics™: サステナビリティレポートP.24参照

幅広い製品群を生かした提案活動

ますます用途の広がる半導体市場において、当社では生産性と省スペース化による装置単位面積当たりの効率化や、歩留まりの改善など製造現場のニーズに応えるべく、お客さまの声を起点とする製品開発を実践しています。具体的には、「Account Sales本部」において把握したお客さまの次々世代以降の技術に対するご要望をもとに、「Corporate Innovation本部」において検討をおこない、実際の製品に具現化するなど、2つの本部が緊密に連携して、製品化に取り組んでいます。


また、最先端の技術開発のみならず、量産装置としての性能改善も継続的におこない、複数世代にわたるお客さまのご要望に対し、プロアクティブにお応えできるよう努めています。当社では、高い技術力が必要となるパターニングにおいて連続しておこなわれる成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄といったキープロセスの装置をはじめとする幅広い製品ポートフォリオを生かした提案をおこなっています。製造装置のみならず、システムやソフトウエアを含めた最適なソリューションにより製造工程の最適化を図り、半導体製造の迅速化と品質向上の両立により、お客さまの競争力強化に寄与する製品開発に努めています。

フィールドソリューションの取り組み

フィールドソリューション事業

半導体においては、CPU*¹メモリの高性能化、量産化に向けた微細化に加え、自動運転システムやVR*²・AR 用トランジスタの高集積化が進んでおり、医療・金融・交通・製造などのさまざまな分野で需要が高まってきています。お客さまにおいては、これらの需要に対応すべく、装置の稼動率向上が極めて重要となってきています。

当社では、出荷した装置が市場で長期にわたり安定稼動することを目指し、フィールドソリューション事業のさらなる強化に努めています。フィールドサービスにおけるナレッジマネジメントの推進やフィールドエンジニアの継続的なスキルアップ、トータルサポートセンター(TSC)によるグローバルサポート体制の強化などに取り組んでいます。また、新型コロナウイルス感染症の影響による海外への渡航制限や入出国時の隔離措置などさまざまな規制に対応すべく、遠隔保守サポートや教育ツールの開発などを進めることにより、お客さまのビジネスオペレーションの最大化に貢献していきます。

*1 CPU: Central Processing Unit。メモリやハードディスクと並んでコンピュータを構成する代表的なデバイス
*2 VR: Virtual Reality(仮想現実)。コンピュータ上で現実に似せた「仮想世界」をつくり出す技術

先進ロジスティクス

logistics_2021.jpg

幅広い産業で半導体のニーズが高まる中、当社では新型コロナウイルス感染症の拡大や天候不順などへの対応のみならず、事業継続計画の観点からも、装置やパーツを安定供給できるロジスティクスのさらなる強化に取り組んでいます。

当社では、お客さまへ装置やパーツを持続的に供給することができるよう体制の構築を進めており、2021年3月には千葉県船橋市に6,000m²規模の国内2カ所目となる物流拠点を立ち上げました。

物流のみならず倉庫運営を含め一括委託するサードパーティロジスティクス*(3PL)で運用し、今後は出荷量の増加に適応するための拡張を検討するとともに、効率的かつ変化に対応できる柔軟な物流体制を目指していきます。この新たな物流拠点の本格稼動によって、国内のお客さまへ装置やパーツをより安定的に供給することが可能となります。今後は、海外のお客さまへの対応をさらに強化すべく、施設の拡張を含むロジスティクスの構築を進めていきます。


* サードパーティロジスティクス: Third Party Logistics = 3PL。物流だけでなく倉庫運営を含めて一括委託する形態

トータルサポートセンター

当社では、日本、米国、中国、欧州の各地域にトータルサポートセンター(TSC)を開設し、日本を中心としたグローバルネットワークにより、海外現地法人をサポートしています。

TSCの各拠点では、専任の担当者がお客さまの装置に関する情報や類似したトラブルの事例をデータベースとして蓄積し活用しています。さらに、「TELeMetrics™」などの運用により、遠隔作業による保守も展開しています。2020年度には、世界中のTSCが各地域の時差を活用し、相互にサポートし合う体制を整えました。これらの取り組みにより、世界中のお客さまからのお問い合わせやトラブル対応に、これまで以上に迅速かつ的確に対応することができるようになりました。


tsc_2021.PNG

ナレッジマネジメント

当社では、品質の高いサービスを迅速にお客さまに提供できるよう、当社グループ全体でナレッジマネジメント*¹を推進しています。フィールドサービスの分野では、お客さまの装置のサポートやトラブルの履歴をデータベース化し、一元管理できるService CRM*²を構築しています。2019年度に日本国内で運用を始め、現在はグローバルに展開しています。

また、「装置のカルテ」や「ナレッジの検索」をおこなうナレッジマネジメントツールを活用することで、複数のシステムにおける一括検索が可能となり、作業工数の削減に寄与しています。「装置のカルテ」では、装置のシリアルナンバーをもとに、過去のお客さまのトラブル修復情報やパーツの交換履歴など装置作業履歴を一括検索することが可能です。2020年10月に刷新された「ナレッジの検索」では、装置トラブルの内容をキーワード入力することで、データベースに保存されているファイルや文書から過去のトラブル情報をもとに一括検索することが可能です。2021年度は、これまでの日本語と英語に加えて韓国語や中国語に対応することができるよう多言語化を進めています。この多言語化によってグローバルで活動するフィールドエンジニアの作業効率化を図るとともに、当社グループ全体のさまざまなシステムをOne Platform*³で管理する取り組みを進めることにより、お客さまへの対応のさらなる向上に努めていきます。

*1 ナレッジマネジメント: 個人がもつ暗黙知を企業内で共有することで新たなイノベーションを促し、全体的な生産性を向上させるための管理手法
*2 Service CRM: Service Customer Relationship Management
*3 One Platform: 共通化したデータベースとシステムで情報を管理する取り組み。サステナビリティレポートP.28 業務効率化を参照

リモートサポートシステム

当社は、製造装置のダウンタイムを最小限に抑え、大きな欠陥が発生する前に異常な動作を検出し、装置の安定稼動を支援するために「TELeMetrics™」によるリモートサポートを進めています。

新型コロナウイルス感染症拡大による渡航制限や各国の規制により、フィールドエンジニアに対する遠隔支援の必要性が高まる中、お客さまの製造拠点からの映像や音声をリアルタイムに共有することができ、また情報の秘匿性をさらに高めた高度なリモートサポートシステムの開発に取り組みました。

2020年度より、既存のスマートグラス*のシステムに、情報保護、映像送信制限、通話翻訳などの当社独自の機能を加え、リモートサポートの利便性を高めるとともにさらなるサポート品質の向上に努めています。


smart_glass_2021.PNG


* スマートグラス: メガネのように装着し、グラス越しに映像やデジタル情報を表示することができる

エンジニアのスキルアップ

フィールドエンジニアのトレーニング体制やグローバル化の強化を目的として2019 年に設立されたトレーニングオペレーションセンターでは、SEMATECH(米国半導体共同開発機構)の基準に合致した当社グループ共通のスキル管理体制を構築しています。客観的に把握したエンジニアのスキル情報をもとに、最適な人材配置をおこない、お客さまへのサービスの提供に役立てています。

2020年度には、海外現地法人におけるエンジニアのスキル向上のため、エキスパートエンジニア教育を開始しました。この教育では、海外のテクニカルサポートエンジニアが国内製造拠点で開発レベルの高度なスキルを実践的に習得できるトレーニングプログラムなどを用意しています。また、2020年度に設置されたグローバルデータエンジニアリングチームでは、フィールドエンジニアを対象にデジタルトランスフォーメーション*を専門とするデータアナリスト育成を目的としたプログラムを展開しています。



* デジタルトランスフォーメーション: サステナビリティレポートP.19 参照

お客さまの安全のために

お客さまへの情報提供

当社では、お客さまが製品を安全にご使用いただけるよう、製品の安全に関する十分な情報提供に努めています。ご購入いただいたすべての製品には、「TEL 安全と環境に関する指針」マニュアルを添付しています。このマニュアルでは、製品使用時に想定される危険事例とその回避方法、製品に施された安全対策や製品の廃棄方法などについて、化学的・電気的・機械的・人間工学的などのカテゴリー別に記載しています。世界中のお客さまに、記載された内容を正確にご理解いただき、製品を安全にご使用いただけるよう12の言語*でマニュアルを制作しています。また、この「TEL 安全と環境に関する指針」マニュアルに加えて、製品の仕様に合わせた製品別マニュアルも提供しています。

製品の出荷後に、安全に関する新たな注意事項が確認された場合には、対象となるお客さまに情報のご提供をおこないます。危険性の高い化学物質や高電圧を使用した製品を納入されたお客さまに対しては、必要な情報が確実に伝わるよう努めています。

* 12 言語: 日本語、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、オランダ語、ロシア語、ポルトガル語、韓国語、中国語(繁体字)、中国語(簡体字)、フィンランド語

お客さま向けトレーニングのグローバル展開

当社では、開発生産拠点を中心に、世界各地においてトレーニングセンターを開設し、お客さまが製品を安全にご使用いただけるよう、装置の操作方法やメンテナンスに関するトレーニングを実施しています。2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、現地における装置トレーニングの開催が困難となったためウェブ教育やリモートトレーニング*の需要が拡大しました。

現在、当社では多くの装置についてリモートトレーニングを開始していますが、導入した機材や手法を各トレーニングセンターで共有し、ウェブ教育やリモートトレーニングの内容や品質の改善に努めています。今後もお客さまの安全確保を第一に、トレーニング環境のさらなる整備を進めていきます。


* リモートトレーニング: 遠隔ではあるものの、講師と受講者がリアルタイムでやり取りをしながら実際の装置を使用してトレーニングを受ける

製品の安全設計

当社は、開発段階から製品のライフサイクルを考慮してリスクアセスメントをおこない、その結果に基づいて本質安全設計*¹をおこなうことで、装置が人に危害をおよぼすリスクの低減を図っています。また、厳格化が進む法規制の調査をグローバルにおこない、適合を進めるとともに、装置を納入する地域の安全規制に対応する体制を整えています。

当社から出荷する装置は、国際的な安全規格、SEMI S2*²やCEマーキング*³への適合に関して第三者審査機関による適合確認をおこなっています。また、各国、各地域の安全法規制に対しては、海外現地法人と連携しながら適切な対応をおこなっています。


*4 本質安全設計: 機械の設計を工夫することにより、機械が人に危害をおよぼす原因そのものを取り除くこと
*5 SEMI S2: 半導体製造装置の環境、健康、安全に関するガイドライン。欧米の有力半導体デバイスメーカーを中心に、半導体のみならず、世界中で電気電子デバイス製造装置の安全仕様として採用されている装置安全設計に関するガイドラインとなっている
*6 CEマーキング: 欧州EU圏に製品を輸出する際にはEUが定めたルール(指令)に従い、その製品が安全であることを確認し、その証としてCEマークを表示することが定められている

顧客満足度の向上

顧客満足度調査

当社では、顧客満足度調査(TEL CS Survey)を毎年実施し、お客さまからいただいた評価を継続的に改善につなげています。2003年度に一部の部門から開始したこの調査は、2013年度に半導体製造装置全部門へ2015年度にはフラットパネルディスプレイ製造装置部門および海外現地法人へと拡充し、現在はCustomer Satisfaction Survey Program(CSSP)として全社で展開しています。

CSSPでは、お客さまに年に一度同じ時期に、実務レベルの改善につなげるべく具体的な設問による調査を実施しています。調査で得られた情報を、ビジネスユニット(プロダクト)、アカウント(お客さま)および機能(ソフト・開発など)ごとに分析し、その結果を営業、装置・工場、サービスなどの各関連部門と共有して改善のためのアクションを実施しています。また調査方法についても、設問や分析手法、活動全体の運営など、あらゆる面からの改善を重ねています。

2020年度の顧客満足度調査では、約1,400名(全体の70.2%)のお客さまからご回答いただき、CSR 年度目標である3点以上(大変満足または満足*¹)の評価を得た項目が、全調査項目の96.7%を占め、2019 度より3.4ポイント向上しました。当社では、1点(大変不満足)のご回答をいただいたお客さまへの迅速な対応をおこなうなど、調査全体にわたり早い段階で改善活動に取り組むShift Leftを展開しています。これからも3点以上の項目の割合100%を目標として、全社一体となり、お客さまを起点とした改善活動を推進していきます。

改善事例
当社のプロダクトラインの一つを取り扱うビジネスユニットにおいては、2017年度の結果が営業、装置・工場、サービスの全部門で3点を下回ったため、さまざまな改善活動に取り組んでいます。TEL CS Surveyの結果を受け、マネジメント会議において直ちに結果のレビューおよびKPI*²の策定をおこない、四半期ごとに状況の定点観測をおこなっております。これまでの調査結果から明らかになった各お客さまにおける当社の課題に対しては以下のような改善策を講じています。

・当社の戦略についてお客さまに説明し、ご理解をいただく
・お客さまへの訪問頻度の改善 ・当社内でタスクフォースを編成し、装置の課題についての改善活動を継続的に実施
・お客さまと当社技術者との直接的なコミュニケーションの促進
・課題対策会議における課題ごとのオーナーの明確化 など


これらの改善策においてPDCAサイクルを展開することにより、2020年度の調査では営業、装置・工場、サービス部門で目標の3点以上を達成することができました。結果的にプロダクトの強化にもつながり、お客さまの当社全体に対する満足度の向上を確認することができました。


tel_csr_survey_2021.PNG


*1 4点を満点とし、3点以上を「大変満足または満足」としてカウント

*2 KPI: Key Performance Indicators。改善活動の進捗を管理する評価指標

その他のマテリアリティ