顧客対応力

第4次産業革命の時代を迎え、さまざまなモノがインターネットにつながり、人工知能によるビッグデータの分析・活用が進んでいます。半導体やフラットパネルの用途は拡大し、製造装置に対するお客さまの要望もますます多様化・複雑化しています。このような背景において最適な製品やサービスを提供するためには、お客さまのニーズを的確に把握することが重要です。東京エレクトロンは創業以来、顧客満足を重要な経営テーマとして掲げ、お客さまとの確固たる信頼関係の構築に努めてまいりました。また、当社はマルチプロダクトを展開する装置メーカーとして、統合的なソリューションを提案してまいります。お客さまの価値創造に寄与し、お客さまにとって唯一無二の戦略的パートナーとなることを目指し続けます。

顧客価値創造

顧客価値創造のための体制

当社は、アカウント体制の展開によりお客さまと緊密な関係を構築・強化することで、お客さまのニーズをより深く理解し、事業部門、開発部門と連携して製品開発・サービス事業の創出に結びつけていく活動を進めています。加えて、お客さまのニーズにより総合的・包括的に対応するため、コーポレート部門と協力して、製品分野や業務領域をまたぐ共通テーマに関わる開発活動も進めています。

このような活動の推進と活動の効率を上げるために、グローバルで統一された仕組みやシステムの構築を進めています。特にサービス部門においては、グローバルサービスコミッティを構築し、各部署および各現地法人のサービスリーダーが定期的に集まり、One-TEL サービス活動を推進しています。グローバルサービスコミッティでは、全世界に3,000 名以上いるフィールドエンジニアの技術および対人スキルの向上、スタートアップの現地化、工数管理システムによる作業効率の向上、そしてトータルサポートセンター構想など、あらゆるテーマについて議論がおこなわれています。ここでの議論をもとに、各アカウント間・各現地法人間での情報やナレッジの共有、オペレーションにおける最適な方法の展開を進めています。

お客さまのニーズに対する提案力、問題解決力を向上させ、お客さまの価値創造に貢献するとともに、業務のスピードと効率を改善することで当社の価値創造にも貢献しています。

製品分野を超えた開発力

半導体の微細化・高性能化が進む現在、お客さまの製造プロセス全体を最適化する提案が求められています。当社は、高度な技術力と多彩な製品群を有する強みを生かし、課題解決に取り組んでいます。

2017年度は新たに、PIC(プロセスインテグレーションセンター)を設立しました。IoTの広がりによるAIや自動運転など、より豊かで便利な社会の構築には欠かせない技術要求の高まりに対し、PICでは、複数の装置の組み合わせや装置と材料の組み合わせによる加工技術が生み出すイノベーションについて研究を重ねています。その一つが、半導体の3次元化です。縦方向に素子形状をつくる3次元化は、成膜・露光・エッチング・洗浄を何度も繰り返すことで、ウェーハ上に複雑な形状をつくるものです。幅広い製品ラインアップを有する当社ならではの総合力を生かし、製造技術全体の進化に貢献しています。

総合的提案にむけた取り組み

ナレッジマネジメント

当社は、グループ全体でナレッジマネジメント*を推進しています。ナレッジを共有し、異なる部署間や海外拠点間をつなぎ合わせることで、ベストプラクティスの共有を図り、高質なサービスをお客さまに提供しています。フィールドサービスの分野では、過去の装置トラブルの情報を一元化し、必要に応じて検索できるシステムを構築しました。これにより、トラブルに関連するナレッジ検索が容易になり、原因の予測精度が高まって、お客さまへ、よりスピーディかつ効率的な対応ができるようになりました。

* ナレッジマネジメント:個人がもつ暗黙知を企業内で共有することで新たなイノベーションを促し、全体的な生産性を向上させるための管理手法

作業工数管理

全世界約3,000名のフィールドエンジニアを対象に、グローバルタイムシートを導入しました。これは、装置の立ち上げ作業や修理対応など、実施したタスクの種類とそれに要した時間を一定の規則に沿って入力し、管理する仕組みです。この仕組みを導入することで、サービスの見える化が可能となりました。当社ではグローバルタイムシートによって蓄積された作業データを分析し、作業効率の向上やサービスの品質改善に取り組んでいます。

スキル管理

フィールドエンジニアのスキルアップと、サービス競争力の向上を目指して、SEMATECH(米国半導体共同開発機構)の基準に準じたグループ共通のスキル管理体制を構築し、2017年度から運用をスタートしました。フィールドエンジニアの個々のスキルを把握することで、グループ全体での計画的なスキルアップが可能となりました。また、各エンジニアのスキルが客観的に把握できるため、お客さまのニーズに応じた人材配置を可能としています。

多様化するニーズへの対応

IoT時代の到来により、半導体の需要は二極化が進んでいます。MPU*1やDRAM*2の需要を中心に、微細化や高集積化が進む一方、医療・金融・交通・製造など幅広い領域で汎用半導体の需要も高まっています。また、自動車や産業向けに長期的に安定稼働する半導体が求められるなど、製品のライフサイクルの長期化も課題となっています。

当社では、これらの流れを踏まえ、アフターマーケットに注目した組織体制を整備してきました。お客さまのご要望を把握した上で社内にフィードバックし、製品開発に生かす体制を整えています。

このような体制のもと、200mmウェーハを中心とした装置の供給事業を大きな柱として展開しています。業界最多の66,000台以上の装置納入実績を有する強みを生かし、中古装置市場あるいはエンドユーザーから装置を調達し、認定中古装置として販売する他、再製作装置にも力を入れています。再製作装置とは、調達した自社製品をモジュールベースに分解し、使用できる部材には改修を施し、不足する箇所に新品の部材を加えて製作する装置です。これにより、お客さまのご要望に沿った提供が可能になります。

さらに、販売から20年以上たった装置でも購入したいというご要望が多くある装置については、リニューアルモデルとして展開しています。装置の機能自体は変更せずに、旧ユニットや部品を最新のものに置き換えることで、既存プロセスとの互換性を有しつつ、今後も長期にわたって使用を希望されるお客さまのご要望に応えてまいります。

その他、新たなオプションとして、中古装置に最先端300mm装置の機能を付加する改造提案もおこなっています。これにより、生産性の向上など、従来機を上回る性能向上が可能となっています。

*1 MPU: Micro-Processing Unitの略。マイクロプロセッサ。主にコンピュータの演算機能を担う半導体チップのこと
*2 DRAM: Dynamic Random AccessMemory の略。コンピュータなどに使用される半導体記憶素子の一つ

Executive message

IoT時代の到来により、半導体アプリケーションの裾野は広がり、製造装置に求められるニーズは多岐にわたるようになりました。このようなニーズに対し、当社では、6万台超の納入実績をベースにフィールドソリューションビジネスを展開し、すべてのお客さまが安心して当社の装置を使っていただけるサービスを心掛けています。装置の性能を最大限に引き出すインフラを充実させ、製品のリユース、リサイクルや高付加価値な保守サービスを通じて、多種多様なアプリケーションに対応する多世代装置の安定稼動をサポートします。これは当社の中長期的成長に欠かせないビジネスであるとともに、環境負荷を低減し、社会にも貢献しうるものであると確信しています。

常務執行役員
フィールドソリューション事業本部長
春原 清

お客さまの安全のために

情報提供

当社では、お客さまに製品を安全に扱っていただくため、十分な情報提供に努めています。

購入いただいたすべての製品には、全装置共通のマニュアル「TEL安全と環境に関する指針」を添付しています。このマニュアルには、化学的、電気的、機械的、人間工学的といったカテゴリーごとに、製品を使用する際に想定される危険性とその回避方法、また、製品に施された安全対策や、製品の廃棄方法などを掲載しており、世界中のお客さまがより正確に情報を理解し安全に使用できるよう、10言語*に翻訳して提供しています。この他、装置の安全な使用を支援するために、各装置の危険性を回避し正しい操作やメンテナンスをおこなうための手順を詳細に記載したマニュアルも提供しています。

また、危険性の高い化学物質や高電圧を使用する当社の製品を納入する際には、安全への細心の注意が必要です。特に、お客さまの新しい製造ラインへ納入する際には、当社の規程に基づいて、事前に施設や設備、安全作業基準などを確認し、安全な環境を整えるよう徹底しています。

* 10言語:日本語、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、オランダ語、ロシア語、韓国語、中国語(繁体字)、中国語(簡体字)

トレーニング

当社では、お客さまに当社の製品を正しく安全に扱っていただくため、装置の操作方法やメンテナンス方法に関するトレーニングを実施しています。製造拠点を中心に、ワールドワイドでトレーニングセンターを設置し、約80名のインストラクターが現物の装置を使った実践的トレーニングを提供しています。常に質の高いトレーニングを提供するため、インストラクターは社内の認定制度によって、そのスキルを認められた人材が担当しています。また、現物トレーニングの他、お客さまの工場で実施するオンサイトトレーニングやインターネットで受講できるウェブベーストレーニングにも対応しています。2017年度にお客さまに受講いただいたトレーニングの日数は、通算約9,500日となりました。

またトレーニング後には、アンケートを通してプログラムの内容や設備に対するお客さまのご意見を収集・分析します。その結果をもとに改善を図り、充実したトレーニング環境の整備に努めています。

顧客満足度の向上

顧客満足度調査

当社では、お客さまからの評価を継続的改善につなげるため、顧客満足度調査(TEL CS Survey)を毎年実施しています。2003年に一部の部門から開始したこの調査は、2014年に半導体製造装置全部門へ、2016年にFPD製造装置部門および海外の現地法人へと拡充し、全社的な活動として展開しています。

お客さまには一年に一度、実務レベルの改善につなげることができるような具体的な設問の調査票をお送りしています。調査で得られた結果は、お客さまにフィードバックするとともに、プロダクト(製品)やアカウント(お客さま)、機能(ソフト、開発など)ごとに分析した結果を関係部門で共有し、対応を実施することで、横断的な改善活動につなげています。また、調査方法自体も、設問や分析手法、活動全体の運営に至るまで、あらゆる面から改善を重ねています。

2017年度の顧客満足度調査では、約1,300名(全体の62.1%)のお客さまから回答をいただきました。その結果、全調査項目中64.9%の項目で3点以上(大変満足または満足)*の評価を獲得しました。当社は、これらの貴重なご意見や分析結果をもとに、全社一体となってお客さまを起点とした改善活動を推進していきます。


*4点を満点とし、3点以上を「大変満足または満足」としてカウント

改善事例

顧客満足度調査を実施した結果、通常のルーティンでは見えてこない課題があることが明らかになりました。それを受けて、関連する部署や現地法人を中心に、全部門が協力して改善を実施しました。より正確でスピーディな問い合わせ対応、装置の早期納入や立ち上げ、フィールドエンジニアの配置見直しなどをおこなった結果、翌年の調査ではお客さまからの評価が改善しました。また、別のお客さまからいただいた「複数の装置をまたぐソフトウエアのサポートを強化してほしい」というご要望を受け、さまざまな対応を実施した結果、お客さまからの評価スコアが向上しました。

その他のマテリアリティ