顧客対応力

東京エレクトロンではお客さまのご要望を的確かつタイムリーに把握し、先の世代を見据えた革新的な技術を提供することにより、お客さまの最先端デバイスの製造に貢献します。多彩な製品群を有する装置メーカーとして、お客さまの価値創造に寄与する総合的なソリューションの提案をおこないます。また、最先端のAI 技術やナレッジマネジメントツールを駆使し、さまざまな世代の装置の安定稼動をサポートする付加価値の高い保守サービスを提供します。創業以来、重要な経営テーマとして取り組んでいる顧客満足度のさらなる向上に努め、お客さまにとって唯一無二の戦略的パートナーとなることを目指します。

顧客価値創造

顧客価値創造のための体制構築

IoT、5Gやオートモーティブの自動化などの背景により、半導体の市場は近年急激に拡大しています。当社は市場の変化に伴うお客さまのニーズに合わせ、最良の技術とサービスを提供し、より実効的でグローバルなオペレーションの実現のための組織を構築しています。

2018年より、従来からの大手半導体メーカーのお客さまを対象に、メモリ、ロジック、ファウンドリなどの次世代の最先端技術のニーズをもとに、新技術開発につなげていく「Account Sales本部」と、家電、自動車、医療、ヘルスケア分野など100 社を超える国内外の新たなお客さまに的確に対応する「Global Sales本部」の2つの本部のもと、お客さまへの対応力のさらなる強化に努めています。それぞれのSales本部では各ビジネスユニット、さらには現地法人との密接な協力関係をより強く築くことで、お客さまにクオリティーの高いサポートとソリューションを迅速に提供しています。

当社では、サービスサポート活動におけるさらなる品質の向上や安定化のため、グローバルで統一された仕組みやシステムの構築を進めています。各部署および各現地法人のサービスリーダーが定期的に集まるグローバルサービスコミッティでは、全世界に4,000名以上いるフィールドエンジニアの技術および対人スキルアップ、スタートアップの現地化、工数管理システムによる作業効率の向上など、情報共有や社内連携を強化しています。また、トータルサポートセンター(TSC*1)による遠隔保守サービス「TELeMetricsTM*2」では、当社がもつ知見や各種ツールを活用し、お客さまのさまざまな課題に対し、カスタマイズされたソリューションの提案が可能となり、より付加価値の高いサービスの提供をおこなっています。

*1 トータルサポートセンター(TSC): サステナビリティレポートP.24参照
*2 TELeMetrics™: サステナビリティレポートP.24参照

幅広い製品群を生かした提案活動

半導体やフラットパネルディスプレイの高度化や多様化が進む中、当社では生産性と省スペース化による装置単位面積当たりの効率化や、歩留まりの改善などの製造現場のニーズに応えるべく、お客さまの声を起点とする製品開発を実践しています。
具体的には、「Account Sales本部」において把握したお客さまの次々世代以降の技術に対するご要望をもとに、「Corporate Innovation本部」において検討をおこない、実際の製品に具現化するなど、2つの本部が緊密に連携して、製品化に取り組んでいます。

当社では、高い技術力が必要となるパターニングにおいて連続しておこなわれる成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄といったキープロセスの装置をはじめとする幅広い製品ポートフォリオを生かした提案をおこなっています。製造装置のみならず、システムやソフトウエアを含めたトータルソリューションにより製造工程の最適化を図り、半導体製造の迅速化と品質向上の両立により、お客さまの競争力強化に寄与する製品開発に努めています。

フィールドソリューションの取り組み

フィールドソリューション事業

半導体に求められる技術は、CPU*1や半導体メモリの高性能化、量産化に向けた微細化に加え、自動運転システムやVR・AR*2用トランジスタの高集積化が進むとともに、医療・金融・交通・製造など幅広い領域で求められています。また、自動車や産業において長期的に安定稼動する半導体の需要も高まっており、製品ライフサイクルの長期化が課題となっています。

当社では、出荷した装置が市場で長期にわたり安定稼動するよう、フィールドソリューション事業のさらなる強化に努めています。フィールドサービスにおけるナレッジマネジメントの推進やフィールドエンジニアの継続的なスキルアップ、またトータルサポートセンター(TSC)によるグローバルサポート体制の強化やリニューアルモデルの展開など、お客さまのビジネスオペレーションの最大化に貢献するさまざまな取り組みをおこなっています。


*1 CPU: Central Processing Unit。メモリやハードディスクと並んでコンピュータを構成する代表的なデバイス
*2 VR: Virtual Reality(仮想現実)。コンピュータ上で現実に似せた「仮想世界」を作り出す技術
 AR: Augmented Reality(拡張現実)。現実世界にCGなどで作った仮想現実を反映(拡張)させる技術

リニューアルモデルの開発・生産

当社では、IoT 関連製品の生産をおこなうお客さまのニーズに応えるため、200mmウェーハ対応の前世代の装置をベースとした、新たなリニューアルモデルの開発・生産体制を整えています。リニューアルモデルでは、既存プロセスとの互換性を保ちながら古いユニットや部品を新しく置き換え、また搬送速度などにおいて最新装置レベルの性能を提供することで、お客さまの生産性の向上と環境負荷の軽減に貢献しています。2020年度、これまで新規装置として販売していた周辺デバイス向け装置「ALPHA-8SE*1」、「UNITY Me*2」のリニューアルモデルの販売を開始し、また200mm ウェーハ用の塗布・現像装置や洗浄装置のリニューアルモデルの開発に着手しました。


*1 ALPHA-8SE™: 低温から高温までのプロセスに対応するバッチ式熱処理成膜装置

*2 UNITY™ Me: 当社が開発した200mm以下のドライエッチ用のプラットフォーム




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*3 CUE: Certified Used Equipment

作業の効率化

当社 では、全世界で活動するフィールドエンジニアの作業の効率化やサービスの品質向上、また人員の適正化などのため、グローバルで共通のタイムシートを使用し、作業工数を拠点や製品ごとに詳細に管理・分析しています。さらに、装置の立ち上げ作業や修理対応などにおいて、エンジニアが実施したタスクの種類や要した時間から、改善効果が大きいと考えられる作業については特に注力し見直しを図るなど、さらなる作業効率の向上につなげています。

ナレッジマネジメント

当社では、品質の高いサービスを迅速にお客さまに提供できるよう、グループ全体でナレッジマネジメント*1を推進しています。

フィールドサービスの分野では、お客さまの装置のカルテ(サポートやトラブルの履歴)をデータベース化し、一元管理できるようService CRM*2のグローバル展開に取り組んでいます。2019年度に日本で運用を始め、2020年度にはシンガポール、ヨーロッパにおいても拡充を進めています。Service CRMには、フィールドエンジニアが世界中からアクセスでき、業務におけるナレッジのデータ量が増え、お客さまからのオンコール時にはより早く正確性の高い対応を効率的におこなうことができます。また、蓄積された膨大な技術文書からエンジニアが必要な情報を自然言語で検索できるシステム(日本語・英語・中国語)においては、画像認識や自然言語処理にAI を活用することで、検索精度の向上が図られています。その結果、トラブルに関連するナレッジを手軽に検索することができ、発生した事象の原因についての予測精度が向上しています。


今後は、当社グループ全体のさまざまなシステムをOne Platformで管理する取り組み*3を進め、お客さま対応のさらなる効率化に努めていきます。


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*1 ナレッジマネジメント: 個人がもつ暗黙知を企業内で共有することで新たなイノベーションを促し、全体的な生産性を向上させるための管理手法

*2 Service CRM: Service Customer Relationship Management

*3 One Platformで管理する取り組み:サステナビリティレポート P.28 業務効率化を参照

*4 BI: Business Intelligence





トータルサポートセンター

当社では、日本、米国、中国にトータルサポートセンター(TSC)を開設し、グローバルなサポート体制を構築しています。TSC の各拠点では、専任の担当者がお客さまの装置に関する情報や類似したトラブルの事例をデータベースとして蓄積し活用しています。さらに、「TELeMetrics™」の運用により、遠隔作業による保守も展開しています。TSCでは、これらのシステムにより、フィールドエンジニアや工場との連携を円滑におこない、お客さまからのお問い合わせやトラブルに対し、迅速かつ適切な対応に取り組んでいます。


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お客さまの安全のために

社内スキルアップ

フィールドエンジニアのスキル管理やトレーニング体制、そしてグローバル化の強化を目的に、2019 年10 月にトレーニングオペレーションセンターを設立しました。SEMATECH(米国半導体共同開発機構)の基準に合致したグループ共通のスキル管理体制を構築し、客観的に把握したエンジニアのスキル情報をもとに、最適な人材配置をおこない、お客さまにサービスを提供しています。また、フィールドエンジニアが自身のスキルアップに必要なトレーニングプログラムを自ら選択し、受講できる仕組みを整備するなど、グローバルな視点からトレーニングカリキュラムやコンテンツの継続的な見直しと改善に取り組んでいます。

情報提供

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お客さまに製品を安全にご使用いただけるよう、当社では製品に関する十分な情報提供に努めています。ご購入いただいたすべての製品には、「TEL 安全と環境に関する指針」マニュアルを添付しています。このマニュアルには、製品使用時に想定される危険や、その回避方法、また製品に施された安全対策や製品の廃棄方法などについて、化学的・電気的・機械的・人間工学的などのカテゴリー別に記載しています。世界中のお客さまに、記載された情報を正確にご理解いただき、製品を安全に使用できるよう12言語*でマニュアルを展開しています。また、製品の仕様に合わせた製品別マニュアルも提供しています。

製品の出荷後に、安全に関する新たな注意事項が発生した場合には、対象となるそれぞれのお客さまにご連絡をして、情報の共有をおこないます。

危険性の高い化学物質や高電圧を使用した製品を納入する際には、安全に対して細心の注意を払って臨みます。また、お客さまの新しい製造ラインにおいては、当社の規程に基づき、事前に施設や設備、安全作業基準などを確認し、安全面への配慮を徹底して製品の納入をおこないます。



* 12言語: 日本語、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、オランダ語、ロシア語、ポルトガル語、韓国語、中国語(繁体字)、中国語(簡体字)、フィンランド語



お客さま向けトレーニングのグローバル展開

当社では、開発生産拠点を中心に、世界各地においてトレーニングセンターを開設し、お客さまが製品を安全にご使用いただけるよう、装置の操作方法やメンテナンスに関するトレーニングを実施しています。20197月には、Tokyo Electron Koreaにおいても新たなトレーニングセンターを開設しました。トレーニングセンターでは、社内の認定制度によってスキルを認められた約50名の専任インストラクターにより、実機を使用した実践的なトレーニングをグローバルに展開しています。また、オンラインでのウェブ教育に加え、お客さまの工場におけるオンサイトトレーニングも実施しています。


お客さまのニーズに、より迅速に対応するためにアンケートをオンラインで実施し、お客さまの意見を収集し分析することで、トレーニングプログラムの内容や設備などの改善に取り組んでいます。今後もお客さまの安全確保を第一に、トレーニング環境のさらなる整備に努めていきます。



本質安全設計


当社は開発段階から製品のライフサイクルを考慮してリスクアセスメントをおこない、その結果に基づいて本質安全設計*1をおこなうことで、装置が人に危害をおよぼすリスクの低減を図っています。また、厳格化が進む法規制の調査をグローバルにおこない、適合を進めるとともに、装置を納入する地域の安全規制に対応する体制を整えています。

当社から出荷する装置は、国際的な安全規格、SEMI S2*2CE マーキング*3の適合に関して第三者検査機関による確認をおこなっており、機械指令ならびにEMC 指令*4に関しては、欧州認証機関(Notified Body)の適合証明書(CoC: Certificate of Conformity)を取得しています。また、KC-MarkKCs-Mark など、韓国や中国、アジア地域において強化が進む安全法規制に対しても積極的な取り組みを進めています。



*1 本質安全設計: 機械の設計を工夫することにより、機械が人に危害をおよぼす原因そのものを取り除くこと

*2 SEMI S2: 半導体製造装置の環境、健康、安全に関するガイドライン。欧米の有力半導体デバイスメーカーを中心に、ICのみならず、世界中で電気電子デバイス製造装置の安全仕様として採用されている装置安全設計に関するガイドラインとなっている

*3 CEマーキング: 欧州EU圏に製品を輸出する際にはEUが定めたルール(指令)に従い、その製品が安全であることを確認し、その証としてCE マークを表示することが定められている

*4 EMC指令: “ニューアプローチ指令”の一つであり、EU域内の27の加盟国の中で適用される。この指令は電磁波干渉によって引き起こされる危険や装置の障害を引き起こす可能性のあるすべての電子・電気機器に適用される。現在適用される指令は2014/30/EUとなっている

顧客満足度の向上

顧客満足度調査

当社では、顧客満足度調査(TEL CS Survey)を毎年実施し、お客さまからいただいた評価を継続的改善につなげています。2003年度に一部の部門から開始したこの調査は、2013 年度に半導体製造装置全部門へ、2015年度にはフラットパネルディスプレイ製造装置部門および海外の現地法人へと拡充し、現在はCustomer Satisfaction Survey Program(CSSP)として全社で展開しています。

CSSPでは、お客さまに1年に1度同じ時期に、実務レベルの改善につなげるべく具体的な設問による調査を実施しています。調査で得られた結果は、プロダクト(製品)やアカウント(お客さま)、機能(ソフト・開発など)ごとに分析し、お客さまにフィードバックするとともに、営業、製造、サポートなどの各関連部門と共有し、改善に向けた活動に取り組んでいます。また調査方法についても、設問や分析手法、活動全体の運営など、あらゆる面からの改善を重ねています。

2019年度の顧客満足度調査では、約1,400名(全体の69.5%)のお客さまからご回答いただき、全調査項目のうち93.3%の項目において3点以上(大変満足または満足*)の結果となりました。

当社では、1点(大変不満足)のご回答をいただいたお客さまへの迅速な対応をおこなうなど、調査全体に渡り早い段階で改善活動に取り組むShift Leftを展開しています。これからも3点以上の項目の割合100%を目標として、全社一体となり、お客さまを起点とした改善活動を推進していきます。

■改善事例
顧客満足度調査の結果、通常業務では確認できない課題が明らかになり、お客さまに接する当社の担当者やマネージャーを中心に、関連部門と協力して課題に対する改善活動を実施しました。その結果、2019年度に着目した3項目のうち、「問題解決に対するソフトウエアのサポート」の項目については、3点以上の評価に改善しました。これは以前から取り組んでいる、複数装置をまたぐソフトウエアのサポート強化が、お客さまの評価向上につながったものと考えられます。

* 4点を満点とし、3点以上を「大変満足または満足」としてカウント

その他のマテリアリティ