利益体質の強化

高品質製品

品質管理体制

東京エレクトロンでは「品質優先」を方針に掲げ、高品質で安定した製品を提供するため、1997年より品質マネジメントシステム規格であるISO9001認証の取得を進めています。すでに、製造を担う各社9拠点が取得しています。また2016年には、グループ統一の「品質方針」を策定し、世界No.1の品質を追求することをすべてのグループ会社の目標としています。2017年も全社一丸となり、品質向上の取り組みを進めてまいります。

品質教育

当社は、社員一人ひとりに品質への高い意識が必要と考えています。すべての新入社員を対象にした基礎的な品質教育をはじめ、全社員に向けてさまざまな教育プログラムを実施しています。

例としては、社員の品質管理に対する意識や能力の向上を図り、仕事の質を高めることを目的に、「QC検定」(品質管理検定)の取得を推進しています。この検定は一般財団法人日本規格協会・一般財団法人日本科学技術連盟が主催する品質に関わる主要な検定であり、資格保有者は全国で累計44万名を超えています(2017年3月現在)。当社では、2011年度の開始から年々資格保有者数が増加し、2017年3月現在、1,579名が資格を保有しています。

その他、海外を含めた全社員を対象とする「PDCA教育」にも力を入れています。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4段階を繰り返すことによる効率的なプロセス管理を習得するためe ラーニングを実施しており、すでに89%(2017年4月現在)が受講しています。

また、工場やサービス部門の対象者には、重要問題の解決手法「TEL 6-Step」という独自の教育プログラムを推進しています。これは、品質管理における一般的なトラブル分析手法である「8D問題解決手法*」を当社向けに一部変更したものです。問題を体系立て、高い水準で分析することによって根本原因を究明し、早期の対策実施と類似事象を含めた問題の再発防止を可能とするプログラムです。現在、ウェブを使ったトレーニングを進めており、2,751名(2017年5月現在)が受講を完了しています。

* 8D問題解決手法: 品質改善のための問題解決を8つのプロセスで行う手法

源流品質の追求 -GD3による設計レビュー-

当社では、製品品質の向上に向けてフロントローディングを推進しています。

構想設計の段階からのリスク抽出を徹底するために、当社が利用しているのが、未然防止のためのマネジメント手法GD3(ジー・ディー・キューブ)です。この手法の特徴は、「設計時」「評価時」「量産移行」の各段階で、設計者とレビュアーによるレビューを実施し、従来との変更点に注目しながらリスクを洗い出す点にあります。

当社ではGD3を活用するに当たり、よりリスク抽出力を高めるために、さまざまな工夫と環境整備に努めています。質の高いレビューを実現するには、質の高いレビュアーが必要です。そのため、社内の知見者にレビューへの参加を依頼しています。それと同時に、多角的にリスクを抽出するため、レビューには、各部門からも人材をアサインすることを基本ルールとしています。また、より効率的に議論を進められるよう過去のトラブル事例の検索ツールを作成したり、より想像力豊かにリスクが抽出できるようマインドマップを活用するなどの取り組みも併せて実施しています。

当社では、GD3よるレビューを社内に浸透させるだけでなく、取引先さまにも推奨し、上流工程からの品質改善をさらに強化してまいります。

本質安全設計

当社は開発段階から製品のライフサイクルを考慮してリスクアセスメントを行い、その結果に基づいて本質安全設計*1を行うことで、装置が人に危害を及ぼすリスクの低減を図っています。また、厳しさを増す法規制に対してグローバルに調査を行い、法への適合を進めるとともに、装置納入先の地域の安全規制に対応する体制を整えています。

当社から出荷する装置は、国際的な安全規格やSEMI S2*2への適合に関して、第三者検査機関による確認を行っています。また、CEマーキング*3に対しては、機械指令ならびにEMC指令*4に関して、欧州認証機関(Notified Body)の適合証明書(CoC:Certificate of Conformity)を取得しています。

*1 本質安全設計: 機械の設計を工夫することにより、機械が人に危害を及ぼす原因そのものを取り除くこと
*2 SEMI S2: 「半導体製造装置の環境,健康,安全に関するガイドライン」。欧米の有力半導体デバイスメーカーを中心にIC のみならず、世界中で電気電子デバイス製造装置の購入安全仕様として採用されている装置安全設計に関するガイドライン
*3 CE マーキング: 欧州EU圏に製品を輸出する際にはEUが定めたルール(指令)に従い、その製品が安全であることを確認し、その証としてCEマークを表示することが定められている
*4 EMC指令: “ニューアプローチ指令”の一つであり、EU域内の27の加盟国の中で適用されます。この指令は電磁波干渉によって引き起こされる危険や装置の障害を引き起こす可能性のあるすべての電子・電気機器に適用されます。現在適用される指令は2014/30/EU となります

品質改善コストの削減

当社では、利益体質強化のための重要課題として、装置を出荷した後に発生する品質改善コストの低減に取り組んでいます。一年間に発生するさまざまな不具合の中から、「大きな費用負担につながる」、あるいは「何度も発生する」といった観点で5つのテーマの不具合をピックアップし、重点的にそれらの解消を図っています。問題が設計構造にあったのか、取り扱い方法にあったのかなど、不具合の原因を究明し、その結果を製品に反映しています。

問題発生時の対応

当社はISOやENといった安全規格への適合に加え、当社の製品に適した設計ルールを定めることで、よりレベルの高い安全性を追求しています。

安全な製品づくりの体制を構築するとともに、装置メーカーの使命として、装置の設計や製造上の不具合、または作業上の問題で発生した事故への対応体制を整えています。事故発生時は、事故報告システム「S-VICS」によって、各事業部の安全の責任者、品質部門の責任者とともに、トップマネジメントを含めた経営層全員に報告書が配信、共有されます。その後、直ちに事故調査を行い、原因の特定と再発防止策の立案に取り組みます。立案された対策は、問題発生した装置はもちろん、独自システム「QA-BOX」によって他のお客さまの装置、あるいは運用中の設計基準などに速やかに反映されます。

取引先さまとの取り組み

製品の品質を向上させるためには、取引先さまとの強いパートナーシップ構築が欠かせません。当社では、品質の維持・向上に向けた取引先さまへの期待を具体的なものにするため、2000年より独自のアセスメントシステムであるSupplier Total Quality Assessment(STQA)を実施しています。

新規取引を開始する際には、このSTQAにより、製品品質やコスト、情報セキュリティ体制ならびに人権・倫理・安全・環境など企業の社会的責任分野の取り組みについて、セルフアセスメント形式でチェックします。リスクがあると判断した場合は、規定の試験をクリアし講習会を受けた監査員が取引先さまを訪問、現場で不適合箇所や当社が期待する改善の内容、品質水準を説明した上で、取引先さまのご理解のもと、当社が発行する改善要求書をもとに改善策の立案・実行をお願いしています。要求内容と改善策は当社内で一括管理し、すべての改善が完了するまで取引先さまを継続的にサポートします。重要部品を扱う取引先さまや品質問題が発生した取引先さまでは3 年ごとに現場での監査を実施しています。

また、装置を構成する部品やユニットの設計上や、製造上の変更により発生する品質問題の削減、品質改善コストの低減のために、取引先さまに対する変更管理に力を入れています。以前より変更管理についての説明会を通じて、変更があった場合の申請のお願いを進めてきました。2015 年からは、より多くの取引先さまに品質管理における変更管理の大切さをご理解いただき、変更申請を徹底していただくため、ウェブを使ったトレーニングを実施しています。2016年度は、約900名にトレーニングを受講いただきました。

不具合の未然防止活動 - SQIP -

当社では、取引先さまと一体となり、部品の不具合の未然防止活動SQIP(Supplier Quality Improvement Program)に取り組んでいます。SQIPは、個々の取引先さまに過去に発生した不具合を深掘りしていただくことで、根底にあった問題(不良因子)を可視化し、未然防止活動に主体的に取り組んでもらうことを目指したプログラムで、「不具合件数の半減」を目標に実施しています。

取引先さまには、品質管理システムのセルフアセスメントをもとに、過去のトラブルが受注、設計、生産、検査、教育など、自社のものづくりのどこに起因するのかを細かく分析していただくことで、弱点をつかみ、システムや作業方法の改善につなげています。

QCパトロール

製品を構成するモジュールをつくる工程では、正確さが厳密に求められます。当社は「圧着作業」「半田作業」「端子台接続作業」など、装置の安全性や寿命に大きく影響する作業でありながら、外観だけでは正常な状態か不備な状態かが分かりにくい作業を、重要基本作業と位置づけています。そして取引先さまの現場において、当社が認定したトレーナーによるテストをクリアした一定のスキルをもつ人材が重要基本作業を行えるしくみを構築しています。加えて、当社の品質や製造部門の担当者が取引先さまを訪問し、作業状況をチェックするQCパトロール活動で確認しています。上記のみならず、「水路溶接点検」「ガスパーツリーク&クリーン点検」についても技術部門と品質部門が共同でQCパトロール活動を実施しています。

プロセスの付加価値向上

全社の業務プロセスの改革

当社は、中期経営計画で掲げる強化項目の一つとして、オペレーションの効率追求による利益向上の実現を掲げています。その実現のために、各ビジネスユニットや現地法人ごとに業務プロセスの改革を推進しています。最適化された業務プロセスを必要に応じて標準化し、グループ全体に最適化することで、経営判断や業務遂行に必要なデータや情報をよりスピーディかつ正確に取得できるよう、取り組みを進めています。

当社では現在、生産、営業、物流、サービス、会計、経営管理部門のエキスパートを全世界から集め、各部門内の縦断的なプロセスや、異なる部門間や機能間をつなぐ横断的なプロセス、さらにはお客さまと関わる受注、生産、出荷、検収などのプロセスにおいて、多角的な業務の見直しに取り組んでいます。その成果を、新しい基幹システムへと落とし込み、2019 年からの活用に向けて段階的な稼働を開始する計画となっています。無駄を省くとともに、他部門やお客さまとの価値連鎖を考慮した新基幹システムを業務の基盤とすることで、人材・モノ・資金・情報をより戦略的に活用しながら、確度の高い予測に基づいた効率的なビジネスを推進できる企業を目指します。

TPM活動による品質・生産性の向上

当社では、全社的なTPM*活動を10 年以上推進しています。この活動は、効率を阻害するあらゆるロス・無駄を徹底的に排除し、生産効率を高め、同時にこの活動を通して働く人の考え方・行動を変えていくことを目的としています。生産現場ではTPMの改善手法が浸透し、社員の人材育成にも役立っています。設計・管理部門とも連携し、改善を進めることで、相乗的に品質や生産性が向上しています。

また間接部門の業務品質の向上にもTPM が活用されています。成果の中でも特に優秀なものについては、年一回行われるTPM 発表会で紹介され、情報が全社で共有されています。この発表会では、最優秀賞などの表彰も行われ、活動に取り組む動機付けの一つとなっています。2015年度からは、日本国内の製造拠点に加えて、2012年に設立された海外拠点Tokyo Electron(Kunshan)Limitedも参加しています。

* TPM: Total Productive MaintenanceもしくはManagementの略