生産性向上

企業の事業活動において、生産性向上への取り組みは、オペレーションの効率化を実現し、収益の拡大をもたらします。東京エレクトロンでは、開発や製造部門のみならず、営業部門や管理部門を含めたグループ全体で、現状のビジネスプロセスの見直しや最適化を進め、バリューチェーン全体を通した品質マネジメントを推進しています。そして、ものづくりにおける企業の社会的な責任を認識し、グループ全体で高い品質意識をもって生産性向上を追求します。また、自社のみならず、お取引先さまとも協働し、サプライチェーンにおける継続的な改善を進めています。当社は、これらの取り組みを通じて企業価値の向上に努め、サステナブルな社会の構築に貢献します。

品質マネジメント

品質方針

当社では、全社統一の品質方針を定め展開しています。

  1. 「品質優先」

    品質の安定は顧客満足のみならず、期待通りの生産計画を達成し、メンテナンス負荷を低減する基盤であり、一時的なコスト増よりも優先します。

  2. フロントローディングと自工程保証

    最先端の技術に基づき開発設計段階から品質をつくり込み、すべての業務プロセスにおいて、自らの工程品質を完結することで、高品質の製品を提供し続けます。

  3. 品質と信頼

    品質に問題が生じた場合には、製造・販売・サービス部門が一丸となって、事実に基づき本質的な原因究明に全力で取り組み、速やかな解決に努めます。

  4. 継続的改善活動

    お客さまの満足・信頼につながる活動に対して、品質目標や指標を設定し、PDCAサイクルを回しながら、継続的改善を実施していきます。

  5. ステークホルダーとのコミュニケーション

    製品品質に関わる必要な情報をタイムリーに発信するとともに、ステークホルダーの期待に適切に対応していきます。

2017年度は、品質方針周知のため、すべての拠点に品質方針ポスターを掲示し、全社員に品質コミットメント(行動指針)を印刷したカードを配布しました。


バリューチェーンを通じた品質マネジメント

当社は、製品やサービスのみならず、すべての業務プロセスにおいて継続的な改善をおこなっていくことが、品質と生産性の向上に寄与すると考えています。バリューチェーン全体において、お客さまのニーズを反映し、社内外の連携を強化しながら、業務改善に取り組んでまいります。

マネジメント体制

当社では、代表取締役社長を責任者とした品質保証体制を構築しています。高品質で安定した製品を提供するため、1994年より品質マネジメントシステム規格であるISO9001認証の取得を進めており、現在グループ製造会社9社で取得が完了しています。

ISO9001認証取得状況

会社名事業所名取得年月日
東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ山梨事業所(藤井/穂坂地区)1994年9月
東北事業所

1994年12月

東京エレクトロン九州合志事業所1997年3月

TEL Magnetic Solutions

-2009年11月
Tokyo Electron KoreaBalan Factory2011年9月
東京エレクトロン宮城大和事業所2012年9月
TEL FSI-2013年3月
TEL Epion-2014年5月
TEL NEXX-

Tokyo Electron (Kunshan)

-2018年5月

教育

当社は、社員一人ひとりに品質への高い意識が必要と考え、さまざまな教育プログラムを実施しています。

すべての新入社員を対象にした基礎的な品質教育をはじめ、海外を含めた全社員を対象とした「PDCA教育」にも力を入れています。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4 段階を繰り返すことによる継続的な改善の必要性を習得するためe ラーニングを実施しており、87%(2018年3月現在)が受講しています。

また、工場やサービス部門の対象者には、重要問題の解決手法「TEL 6-Step」という独自の教育プログラムを推進しています。これは、品質管理における一般的なトラブル分析手法である「8D 問題解決手法*1」を当社向けに一部変更したものです。問題を体系立て、高い水準で分析することによって根本原因を究明し、早期の対策実施と類似事象を含めた問題の再発防止を可能とするプログラムです。現在、eラーニングによるトレーニングを進めており、約5,000 名(2018年3月現在)が受講を完了しています。2015年からは、ウェブ教育だけではなく、品質問題の解決を実践的に学ぶことができるよう、現地法人や開発メンバーを対象とした集合研修も実施しています。

さらに、「QC 検定*2」(品質管理検定)の取得を推進し、社員の品質管理に対する意識や能力の向上を図り、仕事の質を高めています。2011年度から年々資格保有者数が増加し、2018年3月現在、約2,000名が資格を保有しています。

*1 8D 問題解決手法: 品質改善のための問題解決を8つのプロセスでおこなう手法
*2 QC 検定: 一般財団法人日本規格協会・一般財団法人日本科学技術連盟が主催する品質管理検定。資格保有者数は全国で累計46万名を超えている(2018年2月現在)

業務効率化

当社では、中期経営計画の強化項目の一つとして、オペレーション効率の追求による生産性向上を掲げ、グループ全体で業務プロセスの革新を進めています。各部署や拠点ごとの業務プロセスをグループ全体に標準化・最適化することで、経営判断や業務遂行に重要な情報をよりスピーディに取得し活用する仕組みづくりに取り組んでいます。 

現在は、生産、営業、物流、サービス、会計、経営管理部門のエキスパートを全世界から集め、異なる部門間や機能間をつなぐ横断的なプロセスや、お客さまと関わる受注、生産、出荷、検収などのプロセスにおいて、多角的な業務の見直しをおこなっています。見直しによって得られた成果は、新基幹システムなどITインフラに落とし込み、事業に関わる膨大な情報の活用により、生産性の高いオペレーションの実現を目指しています。

バリューチェーンにおける品質の向上

開発・設計段階の取り組み

製品の品質向上のためには、上流工程で不具合を混入させないようにするとともに、各工程において品質を完結し不具合品を後工程に流さないようにすることが重要です。この観点から、当社では、フロントローディングと自工程保証を推進しています。早い段階で製品品質の完成度を上げるために、製品設計の初期段階から、リスク抽出と対策(FMEA*)を徹底することで、不具合の発生・流出の抑制に努めています。また自工程保証についても各工程における徹底した審査や、シミュレーションを使用した検証などをおこなっています。さらに類似不具合を防止するために、市場や社内で発生・検出した不具合の根本原因を「TEL 6-Step」で究明するなど、上記施策を継続的かつ効果的に実施しています。


* FMEA: Failure Mode and Effects Analysisの略。故障モード影響解析。リスクを予め把握し、予防・軽減していく手法


安全法規制対応

当社は、装置の安全性に関する法規制やガイドラインを常にチェックし、対応する体制を整えています。国際的な安全規格やSEMI S2*1 などの安全要求に対し、出荷装置の第三者検査機関による確認を実施しています。また、機械指令ならびにEMC指令*2に対しては、欧州認証機関の適合証明書を取得しています。





*1 SEMI S2:半導体製造装置の環境、健康、安全に関するガイドライン

*2 EMC指令: EU域内の加盟国の中で適用されるニューアプローチ指令の一つ

取り組み事例

東京エレクトロン九州では、品質保証部門が主体となって独自の品質管理手法を実施しています。工場の工程を4つのステップ(開発・量産準備・量産・重要部品管理)で捉え、品質保証部門が蓄積してきた知見を活用し、開発者とは異なる目線で提案をおこないます。この4つのステップの中から、イレギュラー作業や新規仕様装置などを考慮した品質リスクを抽出し、顧客運用を意識した厳密なチェックや品質向上に有効な作業を提案し徹底することで、装置が出荷された後に発生する不具合の撲滅を目指しています。





Executive message

メーカーの責務として高品質の製品・サービスを提供するためには、すべての業務プロセスにおいて、社員一人ひとりの高い品質意識に基づく責任ある行動が重要です。また、製品や業務プロセス品質の継続的改善に取り組むことで、お客さまの期待に適合し、オペレーション全体の生産性(質と効率)の向上につながると考えています。私たちは、世界No.1の品質を追求することで、ステークホルダーの長期的な信頼をより強固にし、持続的成長を目指すことで社会へ貢献します。

専務執行役員

EHS・品質・調達・生産技術部門担当
北山 博文

ソフトウエア開発の効率化

当社が有する多様な半導体製造装置に、自社で開発した基盤ソフトウエアを共通して利用することにより、効率化を推進しています。

一元化された基盤ソフトウエアを導入することで、各種の装置ごとに重複した機能の開発工数が削減できます。また、装置ごとに固有の動作を追加する際にも、修正量や作業量が減少し、開発効率の向上を実現しています。設計エラーの発生頻度が減少し、ソフトウエアの品質向上にも寄与しています。

また、複数の事業所を横断した開発ノウハウの共有活動にも取り組んでいます。それぞれの部門でおこなっている改善の取り組みや、新しい開発技法の導入についての情報を定期的に交換する共有活動を通じて、各部署の活動成果が向上しています。この活動は10年以上にわたって継続しており、当社のソフトウエア開発効率向上の一翼を担っています。

お取引先さまとの取り組み

製品の品質を向上させるためには、お取引先さまとの強いパートナーシップ構築が欠かせません。当社では、品質の維持・向上に向けたお取引先さまへの期待を具体的なものにするため、2000年より独自のアセスメントシステムであるSupplier Total Quality Assessment(STQA)を実施しています。

新規取引を開始する際には、このSTQAにより、製品品質やコスト、情報セキュリティ体制ならびに人権・倫理・安全・環境など企業の社会的責任分野の取り組みについて、セルフアセスメント形式でチェックをおこないます。リスクがあると判断した場合は、お取引先さまを訪問し、現場で不適合箇所や当社が期待する品質水準をご理解いただいた上で、改善策の立案・実行をお願いしています。そして、すべての改善が完了するまでお取引先さまを継続的にサポートします。重要部品を扱うお取引先さまや品質問題が発生したお取引先さまでは3 年ごとに現場での監査を実施しています。

また、装置を構成する部品、ユニットの設計、製造上の変更により発生する品質問題の削減、品質改善コストの低減のために、お取引先さまに対する変更管理教育に力を入れています。お取引先さまに対して説明会を実施し、変更管理の重要性をご理解いただく他、2015 年度からウェブトレーニングを実施しています。

取り組み事例

上記の評価プログラムとは別に、東京エレクトロン九州では、お取引先さまと協業して、不良品の発生を抑える仕組みづくりをおこなっています。当社の社員がお取引先さまの製造現場に出向き、製造環境を理解することで、実効的な改善提案が可能となっています。お取引先さまの工程内の状況を共同で分析し、より良い工程を構築していくことにより、不良率の着実な低減が進み、生産性向上におけるWin-Winの関係が構築されています。

サポートの効率化

当社では、お客さまへの効率的なサポートを実現するために、当社と納入した装置をインターネット経由でつなぎ、稼動状況を把握する遠距離診断サービス「TELeMetrics ™」を導入しています。

装置に問題が生じた場合、従来はフィールドエンジニアがお客さまの工場を訪問し、装置のデータを持ち帰って分析し、トラブルの原因を探っていました。このシステムの導入により、トラブル発生時にデータを共有しているお客さまの装置画面を当社にて確認し、アラームログをダウンロードして原因を特定することが可能となりました。データを専門の技術者が解析することで、トラブルの原因をいち早く把握することができ、対策に必要な部品や作業内容を高い確度で絞り込んだ上でサポート業務が実施できることで、解決に要する時間の短縮につながっています。

問題発生時の対応

当社はISOやENといった安全規格への適合に加え、当社の製品に適した設計ルールを定めることで、よりレベルの高い安全性を追求しています。

安全な製品づくりの体制を構築するとともに、装置メーカーの使命として、装置の設計や製造上の不具合や作業上の問題で発生した事故への対応体制を整えています。事故発生時は、事故報告システム「S-VICS」によって、各事業部の安全の責任者、品質部門の責任者とともに、トップマネジメントを含めた経営層全員に報告書が配信・共有されます。その後、直ちに事故調査をおこない、原因の特定と再発防止策の立案に取り組みます。立案された対策は、問題が発生した装置はもちろん、独自システム「QA-BOX*」によって他のお客さまの装置、あるいは運用中の設計基準などに速やかに反映されます。

*1 QA-BOX: TEL グループ内の情報共有・横展開ツール
*2 FCN: Field Change Noticeの略。一般的なリコールを指す

その他のマテリアリティ