製品品質

開発・設計段階の取り組み

製品の品質向上のためには、上流工程で不適合を生じさせないようにするとともに、各工程における品質管理を徹底し、不適合品を後工程に流さないようにすることが重要です。この観点から、TELでは、Shift Leftと自工程保証を推進しています。Shift Leftにおいては、早い段階で製品品質の完成度を上げるために、製品設計の初期段階から、リスク抽出と対策(FMEA*1)を徹底することで、不具合の発生・流出の抑制に努めています。また自工程保証としては、各工程における徹底した審査や、シミュレーションを使用した検証などをおこなっています。これらの推進活動とともに、「Product Lifecycle Management(PLM)」の展開にも力を入れています。PLMを展開・推進し、製品企画・開発・設計・製造・サービスまで全工程を包括的に管理、分析することにより、製品の早期リリースや業務効率化、また品質向上やコスト削減の実現に努めています。

*1 FMEA: Failure Mode and Effects Analysisの略。故障モード影響解析。リスクを予め把握し、予防・軽減していく手法

取り組み事例

製造工程において、納入された部品の不備・不良などの不適合が生じた場合には、部品交換による作業や原因の調査、また工程遅延による生産計画変更などさまざまな工数やコストが発生します。

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東京エレクトロン宮城の品質保証部では、部品の不適合件数が多いお取引先さまに限定して品質改善活動をおこなっていましたが、全体における不適合の割合やその原因を確認する中で、すべてのお取引先さまに対して、その活動をおこなう必要性を認識しました。そのため2108年度からは、供給された部品に不適合が生じたすべてのお取引先さまに向けて独自の「品質報告書」を発行し、お取引先さまの品質レベルや、月間の不適合件数などを記載することで、部品不適合の削減や品質意識の醸成に取組んでいただいています。

2019年度は108社のお取引先さまに向けて報告書を発行し、その結果、不適合件数は17%減少*しました。お取引先さまからは「品質報告書を指針に品質に関する課題が明確になり、自社の部品供給力全体の強化に役立った」との評価をいただいています。報告書の発行により、不適合発生件数の減少という具体的な成果を得ることに加え、定性的なデータに基づく品質改善活動においてお取引先さまと共有することで、コミュニケーションのさらなる活性化を図っています。

今後お取引先さまからの報告書に関するご要望に応えながら内容の充実化に努め、部品品質向上の取組をさらに加速させていきます。

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* 2017年度に対し2019年度実績

ソフトウエア開発の効率化

当社が有する多様な半導体製造装置に、自社で開発した基盤ソフトウエアを共通して利用することにより、効率化を推進しています。

一元化された基盤ソフトウエアを導入することで、各種の装置ごとに重複した機能の開発工数が削減できます。また、装置ごとに固有の動作を追加する際にも、修正量や作業量が減少し、開発効率の向上を実現しています。設計エラーの発生頻度が減少し、ソフトウエアの品質向上にも寄与しています。

また、複数の事業所を横断した開発ノウハウの共有活動にも取り組んでいます。それぞれの部門でおこなっている改善の取り組みや、新しい開発技法の導入についての情報を定期的に交換する共有活動を通じて、各部署の活動成果が向上しています。この活動は10年以上にわたって継続しており、当社のソフトウエア開発効率向上の一翼を担っています。

教育

TELでは、さまざまな教育プログラムを実施することにより、従業員一人ひとりの品質に対する意識の向上に努めています。

新入社員を対象とした基礎的な品質教育や、TELグループ全従業員に対する「PDCA教育」などのプログラムをグローバルに展開しています。「PDCA教育」においてはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4つのプロセスによる継続的な改善の必要性を学びます。2019年度では本プログラムの受講率は84%となりました。

また、重要問題の解決手法を習得する、独自の教育プログラム「TEL 6-Step」を品質管理と密接に関わる開発者、設計者、品質管理担当者、サービス担当者を対象に実施しています。このプログラムは、品質管理における一般的なトラブル分析手法である「8D 問題解決手法*1」をTELの問題解決プロセスに置き換え、変更しています。問題の本質を徹底的に掘り下げ、技術的要因や根本原因を究明することにより、問題を早期に解決し、また再発防止策を講じる能力を養成します。2019年度で、本プログラムの受講者数は5,800名となりました。また品質管理リーダーを対象とする集合研修を開催し、演習形式で品質問題の解決について学ぶ機会を提供し、開発・製造現場における業務改善能力のさらなる強化を図っています。なお、従業員が自発的に品質改善に取り組めるよう「QC 検定*2」(品質管理検定)を広め、基本的なスキルの習得を推奨しています。QC検定の資格保有者は2011年度から年々増加し、2019年度では約24,00名となりました。

*1 8D 問題解決手法: 品質改善のための問題解決を8つのプロセスでおこなう手法
*2 QC 検定: 一般財団法人日本規格協会・一般財団法人日本科学技術連盟が主催する品質管理検定。資格保有者数は全国で累計46万名を超えている(2018年2月現在)

問題発生時の対応

TELでは各製品に適した独自の設計ルールを定め、ISOやEN*2といった安全規格への適合とともに、より高いレベルの安全性を追求しています。

装置メーカーとしての安全に配慮した製品づくりの体制や、装置の設計・製造上の不適合、また作業中に発生した事故などに対応する体制を整えています。事故発生時は事故報告システム「TIRS*3」によって、各事業部の安全や品質関係者、および責任者ならびにトップマネジメントを含めた経営層に情報が配信され、直ちに事故調査をおこなった上で原因の特定と再発防止の立案をします。また装置の重要不具合や品質の情報については、独自システム「QA-BOX*4」によりTELグループの品質部門全体で共有します。事故調査の結果から得られる対策を、問題が発生した装置のみならず、該当する他のお客さまの装置にも速やかに反映し、また現行の設計基準の改訂も行います。一例として、ケーブルの入れ違いによる事故においては、ケーブル差込口の位置や形状を検証する他、人的ミスを誘発する要因の分析や、よりわかりやすい手順書の作成などをおこない、再発防止に努めています。また「QA-BOX」を通じて、関係各部門が連携して事故に関する課題や対応策などを情報共有するとともに、適切な人材のアサインメントをおこない、さまざまなアプローチから事故の再発防止に取組んでいます。「QA-BOX」に蓄積された事故に関するデータを活用し、傾向を累積的に分析して装置ごとの問題と発生頻度について可視化することにより、即効性の高い対策を講じています。トラブルの再発予防や波及防止に努め、装置に起因する事故数の低減につなげています。

*2 EN:European Norm。EC指令(ニューアプローチ指令)には明記されていない記述基準の部分を保管すべく制定されたEUの統一規格
*3 TIRS:TEL Incident Reports System
*4 QA-BOX:TELグループ内の重要品質情報の共有・横展開ツール
*5 FCN: Field Change Noticeの略。一般的なリコールを指す