Introductionイントロダクション
インテリジェンス
2017年、量子コンピュータ実用化にまつわる国内外のニュースが、メディアをにぎわせる機会が増えてきました。
こうしたニュースには、さまざまな扇情的なキーワードが並びます。たとえば「従来のコンピュータと比べ処理能力が一億倍速い」だとか、「消費電力が1000分の1〜100万分の1に抑えられる」などというものです。
このため「量子コンピュータが、スーパーコンピュータなどの従来コンピュータに取って代わるのではないか」、「量子コンピュータさえあれば全ての問題が解決できるのではないか」と考える人も出てくるかもしれません。
しかし、当然のことですが、そんな万能なコンピュータはありません。
スーパーコンピュータなどに代表される従来コンピュータが得意とする分野、AIが得意とする分野があり、それぞれの得意分野ごとにコンピュータを使い分けて利用すべきなのです。
では、量子コンピュータが得意とする分野とは、果たして何なのでしょうか?
今回の特集では、従来コンピュータ、AI、そして量子コンピュータまで網羅して開発を進める富士通研究所や、従来の半導体技術で量子コンピュータ並みの性能を発揮するコンピュータを開発した日立中央研究所。そして、世界初の商用量子コンピュータ開発の根本的なアイデアとなっている、量子アニーリング方式の提唱者、西森秀稔東工大教授などへの取材を行いました。
量子コンピュータとは、どんなマシンなのか。量子コンピュータには何ができるのか。従来コンピュータ、AIと組み合わせて使用したときに、どんなことが期待できるのかといった、現在の量子コンピュータの実像を明らかにします。
No. 017
特集:量子コンピュータの実像を探る
Expert Interview
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- CMOSチップでアニーリングマシンを作製、組合せ最適化問題を解く
- 株式会社日立製作所
研究開発グループ エレクトロニクスイノベーションセンタ
情報エレクトロニクス研究部
主任研究員 - 山岡 雅直
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- CMOSチップでアニーリングマシンを作製、組合せ最適化問題を解く
- キューテック
サイエンティック ディレクター - ロナルド・ハンソン
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- 簡単操作で結果が得られる量子コンピュータの凄さと課題
- 東北大学大学院 情報科学研究科 応用情報科学専攻 准教授
- 大関 真之