Introductionイントロダクション
宇宙開発
フランスの画家ポール・ゴーギャンが、『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』を描きあげたのは1898年のことでした。人間の誕生や死、時の流れや人類の歩みを描いたこの作品は、私たち誰もが想像する普遍的なテーマを問うものです。
この宇宙が生まれたのは、いまからおよそ138億年前といわれています。その誕生直後に、水素やヘリウムなど軽い元素がつくられ、それらの元素が集まってできた星の中で、炭素や窒素、酸素、鉄などの元素がつくられていきました。
そしていま、宇宙最初の星や銀河がどのようにつくられたのか? なんでも吸い込む謎だらけの天体ブラックホールの正体は? 私たち人類は宇宙でひとりぼっちなのか? といった、宇宙の誕生と進化の歴史を探求する研究が進んでいます。
さらに、星がつくりだした元素から生まれた”星の子”である私たちはいま、環境問題や人口爆発といった問題を突きつけられています。そしてその解決に、”宇宙に進出し、宇宙で暮らす”ことが大きな鍵となりつつあります。
宇宙誕生から現在までの約138億年を1年にたとえると、人類の誕生は12月31日の22時30分ごろとなり、科学・技術が発達し始めたのは、その1年が終わるほんのコンマ数秒前のことです。そしてこの1秒に満たない人類の歩みが、謎に包まれた宇宙の姿を解き明かし、人類に課せられたさまざまな問題を解決し、そして未来へと歩んでいく原動力となろうとしています。
我々はどこから来て、どこへ向かうのか――その答えを探る、大いなる挑戦の一端に迫ります。
No. 022
特集:新たな宇宙探究の時代がやってきた。

Expert Interview
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- 画期的な医薬品開発へ。微小重力環境を利用した「きぼう」でのタンパク質結晶生成実験
- きぼう利用センター 高品質タンパク質結晶生成実験担当 主任研究開発員
- 山田 貢
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- 食を通して、新しい宇宙ビジネスを創造する
- Space Food X 副代表/JAXA 新事業促進部 J-SPARCプロデューサー
- 菊池 優太