No.016 特集:宇宙ビジネス百花繚乱

No.016

特集:宇宙ビジネス百花繚乱

連載01

デジタル時代で世の中はどう変わるのか

Series Report

第2回
デジタル化で働き方、人間の活動を変える

2018.01.31

文/津田 建二

デジタル化で働き方、人間の活動を変える

デジタル化の進展は、コンピュータを身近にした。身近になりすぎてコンピュータとは気が付かないことも多い。業界のエンジニアは、コンピュータと同じ仕組みでありながらコンピュータではないものを「組み込みシステム」と呼ぶ。この組み込みシステムを駆使してデジタル化が進行した。デジタル化は、通信方式までも変えた。そのおかげでインターネットも身近になり、世界中の情報が一瞬で手に入るようになった。今回はそんなデジタル技術の特長についてお伝えしよう。

デジタル技術の特長は何か。1と0だけで全ての機能を表現するデジタル技術で可能なことは、アナログではできなかったことが多い。これをまとめてみると、主に4つありそうだ。高速転送ができること、圧縮しやすいこと、誤り検出が容易なこと、そして半導体技術と組み合わせると高集積化しやすいこと、などである。

コンピュータは、内部と外部に1と0で表現されたデータを高速で転送している。私たちのパソコンやスマートフォンをサクサク動かしたり、パソコンからプリンタへデータを送ったり、あるいはインターネット経由でデータを外部へ送ったりできるのはこのおかげだ。アナログでは信号波形をそのままの形で送らなければならないため、速く送ろうとすると信号波形が崩れてしまい、情報を読み取れなくなる。デジタルだと、信号波形の有無だけで判別するため、多少崩れても読み取れるのだ。

圧縮しやすいというのは、例えば空を写した画像を送る場合、同じような青色が並んでいる画像は複数の画素をコピーすることで、見せかけのデータ量を減らすことができるということだ。このため重いファイルを軽いデータに圧縮できる。

また、データは通常8ビット(8桁の1と0の列)を一つの単位(これを1バイトと呼ぶ)として、流していく。そして、このデータに間違いがないか確認するためには、桁を一つ増やして9ビットで表現し、1と0の合計が必ず偶数か奇数になるように決めておくだけでよい。つまり規則を決め、それに反したら誤りと定義すればよいのだ。

例えば、パリティチェックによるビットエラーの検出方法を図1に簡単に紹介する。8ビットを1バイトとするコンピュータシステムでは、8ビットの数字の合計が偶数か奇数になるように整えておく。この場合、パリティビットとして1ビットを追加する。最初の「10011010」では数字の合計が4となり、これは偶数なので、パリティビットは0。2列目の「01111001」の合計は5となるのでこれは奇数であるから、パリティビットは1とすると9ビットの合計数字は6となり偶数になる。8ビットのデータ数字にパリティビットを予め加えておくことで9ビットの合計は全て偶数になる。

もしデータを転送中、あるいは突然アルファ線などの宇宙線の飛来によって、8ビットデータの中の1が0に、あるいは0が1に変換してしまったら、9ビット合計の列のどれかが奇数に変わってしまう。このようにして、誤りを検出する。余談だが、パソコンがフリーズ(凍結)する原因にこのビット変換によることが多い。私たちの身の回りには、宇宙線以外にもWi-Fiや電子レンジ、電磁調理器などからさまざまな電磁波が飛び交い、電気的な干渉(ノイズ)を起こしやすい。ただし、このビット変換は一時的なノイズなどによるものなので、電源をオフにすると元に戻る。再起動で元に戻るとは、このことを指している。

[図1] パリティチェックの原理
作成:津田建二
8ビット 1の合計 パリティ
ビット
8ビット+
パリティビットの合計
(全て偶数になる)
1 0 0 1 1 0 1 0 4(偶数) 0 4(偶数)
0 1 1 1 1 0 0 1 5(奇数) 1 6(偶数)
0 0 0 0 1 1 0 1 3(奇数) 1 4(偶数)
1 0 1 0 0 0 0 0 2(偶数) 0 2(偶数)

そして、デジタル化最大のメリットは、半導体技術となじみがよいことである。半導体は高集積化しやすいMOS*1技術を使うことで、「年率2倍でトランジスタ数は増加する」というムーアの法則が当てはまる。アナログやバイポーラトランジスタ*2の回路では1000トランジスタしか集積できないところを、デジタルだと数万トランジスタも集積できるのである。だからコンピュータのデジタル技術を、半導体MOSトランジスタで実現することができたのだ。

[図2] ムーアの法則
半導体ICの集積度は18~24ヵ月ごとに倍増する
出典:Intel社
半導体ICの集積度は18~24ヵ月ごとに倍増する

[ 脚注 ]

*1
MOS: 3端子のトランジスタの一種で、ドレインとソース端子に電圧を加えておき、ゲート端子に電圧を加えるか加えないかで電流を流す・流さないを決める。
*2
バイポーラトランジスタ: npnあるいはpnpを横切るように電流を流れるトランジスタ。真ん中のベースを限りなく薄くし、ベースに電流を流すか流さないかで、コレクタとエミッタ間の電流を制御する。
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