No.019 特集:データ×テクノロジーの融合が生み出す未来

No.020

特集:データ×テクノロジーの融合が生み出す未来

Expert Interviewエキスパートインタビュー

「宇宙ビッグデータ」は世界のあらゆる物事を変える!宇宙ビジネスコンサルタントが語る、その現状と可能性

2019.5.20

大貫 美鈴
(スペースアクセス株式会社 代表取締役、宇宙ビジネスコンサルタント)

「宇宙ビッグデータ」は世界のあらゆる物事を変える!宇宙ビジネスコンサルタントが語る、その現状と可能性

かねてより、社会を大きく変革し得る在として話題になっているビッグデータ。さらに近年では、そこに宇宙からの視点を組み合わせた「宇宙ビッグデータ」が注目されている。宇宙ビッグデータとはどんなものなのか。どのような可能性を秘めているのか。そして私たちの生活や社会、産業のあり方はどう変わっていくのか。そんな疑問への答えを見つけるべく、宇宙ビジネスの黎明期からこの分野にかかわり続け、数多くの実績を持つ宇宙ビジネスコンサルタントの大貫美鈴さんに、お話を伺った。

(インタビュー・文/鳥嶋真也 写真:黒滝千里〈アマナ〉)

民間による宇宙開発の息吹を感じてコンサルタントに

大貫 美鈴氏

── 大貫さんはどのような経緯で宇宙開発に関わるようになったのですか。

実は、もともと宇宙にまったく興味がありませんでした。むしろ物理や科学、数学はできる限り避けてきたんです(笑)。

大学を卒業したあと、大手ゼネコンの清水建設に入社しました。大きな現場で働きたかったのですが、配属されたのは「宇宙開発室」という部署でした。はじめの頃はプレッシャーしかありませんでしたが、あるときから宇宙に興味を持つようになったんです。

きっかけは、「宇宙ホテル」という構想の提案でした。その際、「衣・食・住」という女性目線が重要視される分野が宇宙分野にもあること、そして私のような文系出身者でも宇宙と接点が持てるということに気づけたのです。そこから宇宙が好きになり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に転職もしました。

ただ、それ以上に私にとって大きな出来事となったのは、2004年にアメリカで「スペースシップワン」の宇宙飛行を間近で見たことでした。

── スペースシップワンといえば、民間企業が初めて開発し、そして宇宙への到達に成功した宇宙船です。

そうです。それまで私は清水建設で大手の航空宇宙企業と付き合うことが多かったのですが、スペースシップワンの宇宙飛行を間近で目撃したときに「民間企業の宇宙への関り方が変わる」という確信が生まれました。それは、今でも忘れられない経験です。

その前年、ボストンに滞在していたときに民間が開発したサブオービタル機で、宇宙と定義されている地上100km超えを目指す、アンサリXプライズの獲得に向けて20社以上の宇宙ベンチャーが競っていました。これを達成したスペースシップワンを継いでサブオービタル宇宙旅行の商業運航を目指しているのがヴァージン・ギャラクティック社(Virgin Galactic)です。この時の熱狂には宇宙ビジネスの“蠢き”のようなものも感じました。それまで感じられなかった経験で、同じ宇宙という分野でも「今までとは違う世界が広がっているんだ」「米国航空宇宙局(NASA)でもない大手企業でもない、ベンチャーの時代がやって来ようとしているんだ」という時代の変化を肌で感じたのです。

── その後、「宇宙ビジネスコンサルタント」として活躍してこられたわけですね。

これまで各国政府が主導してきた宇宙開発は、政府が顧客であり、政府予算の中で行われてきました。しかし近年活発な「商業宇宙開発」では、今までなかった市場を開拓、創出することが重要になると思いました。この市場があるかないかという点が、「政府の宇宙開発」と「商業宇宙開発」の大きな違いです。

その市場開拓を進めるために、私は自身の立ち位置を「商業宇宙」に定めることにしました。そして「宇宙ビジネスコンサルタント」と自ら名乗り、何をやっているかを最初に示し、活動することにしたのです。

コンサルタントという仕事の性格上、具体的な内容は明かせませんが、これまで市場開拓や市場拡大を意識した活動を続けてきました。

── これまでと比べ、商業宇宙開発はどのように発展したのでしょうか。

「スペース・ファウンデーション」というアメリカの団体が、毎年4月に世界の宇宙産業の売上を発表しているのですが、2005年時点の売上は約1700億 ドルでした。ところが2017年のデータでは、約3800億ドルにもなっているのです。近年、宇宙ビジネスは大きく発展したと言われますが、実際に数字の上でも2倍以上に広がっていることがわかります。

もうひとつ注目すべきは、その数字における政府と商業の割合です。各国政府の宇宙予算の合計は780億ドル前後で、2005年から2017年にいたる10年以上の間、ずっと増えも減りもしない状況が続いています。その中で全体の売上が2倍以上に増えているということは、その分だけ商業の数字が大きく増えたことを意味していると言えるでしょう。実際、宇宙産業における売上の割合で政府が20%を切っているのに対し、商業は80%を超えているのです。

さらに、特にこの1年の推移を見ると、商業の中でもロケットや衛星、地上局といったハードウェアの分野の売上も減少傾向にあります。ではどこの売上が伸びているのかと言うと、衛星通信や衛星のデータなどを使ってつくられた製品やサービスの市場です。ここでの売上は、実に2倍以上も増えています。

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