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再生可能な材料で強化されたコンクリート

2019.1.8

亜麻の織物から、低環境負荷、高性能の繊維補強コンクリートが生み出される。
©Jana Winkelmann
亜麻の織物から、低環境負荷、高性能の繊維補強コンクリートが生み出される。

鉄筋コンクリートで作られた建築は、現代文明の象徴になっている。コンクリートは古代ローマにも存在していた建材で、圧縮しようとする力に対して非常に強い。その反面、引張力には弱い上、一度壊れると強度が完全に失われてしまう。そこで考案されたのが、鉄筋コンクリートだ。鉄筋はコンクリートとはちょうど逆の性質を持っている。鉄筋は容易に折れ曲がってしまうが、引張力に強く、粘り強い。異なる特性の物質を組み合わせることで、引張力、圧縮力の両方に強く、なかなか壊れない鉄筋コンクリートが生まれたというわけだ。
しかし、鉄筋コンクリートも万能ではない。コンクリートはアルカリ性だが、経年変化によって中性化していくと、内部の鉄筋が錆びやすくなる。鉄筋は錆びると膨張して、コンクリートが剥落していくことになる。
これを解決するために生まれたのが繊維補強コンクリートで、合成繊維などをコンクリートに練り混ぜたり、貼り付けたりして作られる。近年は、炭素繊維やガラス繊維、ポリマー繊維を用いた繊維補強コンクリートの普及が進んでいる。繊維補強コンクリートは鉄筋コンクリートと同等の性能を持ちながら任意の形状に加工でき、薄くて軽いという利点がある(その分鉄筋コンクリートより高価になるが)。
ドイツのフラウンホーファー研究所が開発したのは、再生可能材料を使った繊維補強コンクリートだ。亜麻繊維にポリマー繊維を織り込んだハイブリッド生地に、特殊な液体コンクリートを流し込んで作られる。従来の繊維補強コンクリートよりも原材料の使用量が少なく、カーボンフットプリントも小さい。
新開発の繊維補強コンクリートは環境負荷が低いだけでなく、性能的にも鉄筋コンクリートを上回る。例えば、長さ15メートルの鉄筋コンクリート橋は約35〜40センチメートルの厚さになるが、亜麻を使った繊維補強コンクリートなら厚さは12〜16センチメートルで済み、さらに建造物としての寿命も長くなるという。

(文/山路達也)

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