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触覚フィードバックを使って、遠隔地のドローンを自分の手足のように操縦

2019.2.18

仮想的な腕を伸び縮みしてドローンを操作すると、対象に触れたかのような感触を得られる。
©Parinya Punpongsanon
仮想的な腕を伸び縮みしてドローンを操作すると、対象に触れたかのような感触を得られる。

ドローンの研究開発では、空飛ぶタクシーや無人宅配便など、自律飛行の精度を上げることに注目が集まっている。ボーイングが空飛ぶタクシーの飛行試験に成功したり、楽天が過疎地でのドローン配送を2019年度中に開始する予定であったり、これらの分野は確実に実用段階に近づきつつある。
一方、自律飛行とは異なる文脈で、ドローンを活用しようという動きも進んでいる。トロント大学と大阪大学が発表したのは、ドローンを使ったVRシステムだ。
このVRシステムでは、ドローンが撮影した映像が、ユーザーの装着したヘッドマウントディスプレイに送られてくる。ユーザーはこの映像を確認しながら、手元のモーションコントローラを使ってドローンを操作する。ヘッドマウントディスプレイ上には仮想的な「腕」が表示されており、ユーザーはこの腕を伸び縮みさせてドローンを任意の場所に動かせる。
また、ディープラーニング技術を用いて、ドローンが撮影した映像から周辺にあるモノの形状を認識。ユーザーの手元にある超音波アレイが、これらのデータを元に触覚フィードバックを返す。つまり、遠隔地の仮想的な腕を動かしてモノに触れれば、その感触がユーザーに伝わってくるということだ。
遠隔地にあるモノに「触れる」ことは医療ロボットによるリモート手術システムでも試みられているが、このドローンVRシステムで触れる対象が圧倒的に広がった。こうした変化は、単にユーザーインターフェースが使いやすくなったということではない。宇宙空間や極限環境の物体、抽象的なデータも触れるようになっていく。人間は、これまでにない新しい感覚を手に入れつつある。

(文/山路達也)

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