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チューブに流体を流して情報を表示する「TuVe」
2019.3.4
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テクノロジーの進化によって、情報を表示する手法は極めて多彩になってきた。スマートフォンやスマートウォッチでは自ら発光するOLEDの普及が進んでおり、折り曲げられるディスプレイもいくつかのメーカーが試作品を発表している。また、リアルタイムに動く物体に合わせて、映像を投影するプロジェクションマッピングも使われるようになってきた。これらのディスプレイは平面的な映像を表示するためのものだ。3Dディスプレイも、基本的に人間の視差を利用して擬似的な立体表現を行っている。
これに対して、大阪大学の伊藤雄一招へい准教授らの研究グループが発表した「TuVe」は、リアルな物質を使って3次元の表現を行うディスプレイだ。
TuVeでは、表示素子として柔らかい素材のチューブを使う。このチューブ内に液体などの流体を流し込んで動きを制御し、それによって情報の表示を行うというわけである。
原理はシンプルだが、チューブ内の流体を思い通りに制御するのは簡単ではない。透明の流体と色の付いた流体を1つのチューブ内に配置しつつ、それらの流体が混ざらないようにして移動させなければならない。研究グループは、ポンプを細かく制御して、着色水間に空気を正確に合流させることに成功。また、シアン・マゼンダ・イエローと白の着色水を混ぜ合わせることによって、多色表現を実現した。
樹脂製のチューブはいろいろなモノに巻き付けられる。例えば、腕に巻き付けるウェアラブルディスプレイや、屋外広告などのデジタルサイネージとしての応用が考えられるという。また、温水と冷水を使って、温度提示ディスプレイとしても使えるとのことだ。