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空中に浮かんだ3DCGを操作できるシステム
2019.3.18
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ヘッドマウントディスプレイを使って、VR空間内で3D映像を楽しむのはもはやそれほど珍しいことではなくなった。しかし、3D映像が本格的に普及するためには、やはり特殊なディスプレイを使わず裸眼で立体的に見えるディスプレイが不可欠だろう。将来的に大きな市場になることが確実であるため、さまざまな研究機関やメーカーが活発な研究を行っている。
宇都宮大学山本研究室とニコンが研究しているのは、空中に3D像を投影するライトフィールドプロジェクション技術*1。ライトフィールドカメラは、撮像素子の前面に微小なレンズを多数配置した、昆虫の複眼のような構造をしたカメラである。それぞれの画素が光線の入射方向や明暗などの情報を保持しており、これらのデータを加工することで3D像を生成できる。研究チームは、ライトフィールドカメラの撮影レンズの代わりに、投影レンズと再帰反射シートを使うことで、記録された光線を逆方向に再生し空中に投影できるようにした。こうした投影された映像は、異なる方向から見ると違ったように見えるため、リアリティが高くなる。
一方、愛知工業大学の研究チームが開発したのは、空中に表示した3D映像をインタラクティブに操作できるシステム*2。このシステムは、マイクロミラーアレイプレートや3DセンサーのKinect、モーションコントローラのLeap Motionなどで構成される。マイクロミラーアレイプレートが、足下に設置されたディスプレイの映像を透過・反射して空中に投影。Kinectがユーザーの視点を追跡し、Leap Motionがユーザーの指の動きを捉える。ユーザーの視点を追跡されているため、ユーザーは視差のある立体的な画像を見ることが可能になった。
空中に投影された3Dオブジェクトを直接「触って」、拡大縮小、変形させる。そうしたやり方が、これからのものづくりの基本になっていくのかもしれない。