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安価な「折り紙」デバイスで、
発展途上国のマラリア診断

2019.4.22

マラリアの診断に使われる折り紙デバイス。血液サンプルを刺して、折りたたみ、検出用のストリップとともにホットプレートで45分加熱すれば診断が可能だ。
Image: Niall P. Macdonald (Dublin City University, Dublin)
マラリアの診断に使われる折り紙デバイス。血液サンプルを刺して、折りたたみ、検出用のストリップとともにホットプレートで45分加熱すれば診断が可能だ。

現代の日本では馴染みがないが、マラリアは今でも世界で猛威を振るっている病気である。WHOによれば、2017年には世界で2億1900万件(推定)のマラリアが発生し、43万5000人(推定)が亡くなっている。ちなみに、2010年の発生件数は2億3900万件、死亡者数60万7000人。2016年の発生件数は2億1700万件、死亡者数45万1000人と、死亡者数は減少傾向にあるが、根絶までの道はまだ険しい。
実をいえば、マラリアは予防や治療が可能だ。病原体のマラリア原虫を媒介するハマダラカを駆除する、刺されないよう蚊帳を使う、といった方法で発生は抑えられるし、治療のための抗マラリア剤もある。結局のところ、問題はコストだ。マラリアの発生は9割以上がインフラの整っていないアフリカ地域に集中している。マラリアの症状は他の病気にも似ているため、すべての患者に対してコストのかかる抗マラリア剤は使えないし、感染していても症状がすぐ出ない人もいる。
マラリア原虫に感染している人を低コストかつスピーディに見つけ出し、できるだけ早く治療すれば死亡者は格段に少なく抑えられるわけだ。
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)という手法でサンプル血液中に含まれるマラリア原虫のDNAを増幅すると確実にマラリアかどうかを診断できるが、屋内の実験室が必要。また、15分程度で診断できる手法は、正確さに欠けるという問題があった。
グラスゴー大学Jonathan Cooper博士らの研究チームは、安価な紙製のデバイスを用いてマラリアを診断する手法を開発。ウガンダに住む67人の子供を対象にした実験では、感染者の98%で正しく診断できた。これに対し、同時に行われた他の手法だと正解率は86%だった。
今回開発された「折り紙」デバイスには、血液を流す流路が耐水性ワックスで描かれている。患者から採取した血液サンプルをこのデバイスに刺して、指定の手順で折りたたむと血液サンプルは狭い流路に入る。この折り紙デバイスと、検出ストリップをフィルムで密封してホットプレート上で45分間温める。検出ストリップはLAMP(ループ介在等温増幅)という手法が用いられている。血液サンプルにマラリア原虫のDNAが含まれていれば、LAMPによって繰り返し複製され、ストリップ上に2つの赤い帯が現れる。今後、研究チームはウガンダの農村部で実証実験を進めていくという。

(文/山路達也)

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