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ついに光学迷彩が実用化?光を曲げるマテリアル

2019.12.9

スクリーンの後ろを歩く人の姿がほとんど見えなくなってしまう、リアル透明マントが開発されたという。
スクリーンの後ろを歩く人の姿がほとんど見えなくなってしまう、リアル透明マントが開発されたという。

姿が見えなくなってしまう透明マントあるいは光学迷彩は、多くの企業や研究機関で大真面目に開発が進められている。背景の映像をカメラでキャプチャし被写体にプロジェクションマッピングする手法、電磁波に対して自然界にはない振る舞いをするメタマテリアルを使って光を屈折させる手法など、さまざまなアプローチがあるが、実用化はまだまだという印象があった。
カナダの軍服メーカー、ハイパーステルス・バイオテクノロジー社が発表したマテリアルは、一般人が透明マントとして思い描くものに最も近いといえそうだ。同社は、特許申請中の技術を"Quantum Stealth"(量子ステルス)と名付けて、プロモーションを行っている。
プロモーション映像では、2メートル×2メートルほどの透明スクリーンの後ろに人が回り込んでも、ぼんやりとした影は少し映るものの、人間が歩いているとはまったくわからない。しかも、たんに肉眼で(つまり可視光の波長で)見えないというだけでなく、近紫外線、近赤外線、サーモグラフでも見えなくなる。
物体とマテリアルの距離によって、どういう風に物体が隠されるのかも変わってくる。例えば、スクリーンの後ろを人が右から左に歩く時、人がスクリーンのすぐ後ろを歩くなら影も右から左に移動するが、スクリーンから少し離れた位置を人が歩くと影が左から右に移動するという、手品のような現象が起こる。
ハイパーステルス・バイオテクノロジー社では、量子ステルスの活用例として、警備用の盾を挙げている。確かに盾の後ろにいる人間の姿がはっきりとわからなくなるため、攻撃側はどこを狙えばよいのかわからなくなって混乱しそうである。 警備や軍事目的以外には、太陽光パネルの発電効率向上、立体ディスプレイシステム、レーザー光線の分散などが挙げられている。実用化されれば、さまざまな分野に大きな衝撃を与えることになりそうだ。

(文/山路達也)

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