Science Newsサイエンスニュース
跳んだり跳ねたりクルクル回ったり……
群れで行動するロボットキューブ
2020.1.14
サイコロのようなキューブ状のブロックが積み重なっている。LEGOのような知育玩具かと思いきや、突然キューブが自分から動き出し、くるくる回ったり、跳んだり跳ねたりする。複数のブロックが自然と整列していく様子は、まるで生き物のようだ。
これは、MITのCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)が開発した「M-Blocks 2.0」というロボットキューブである。
各キューブの内部には、20,000rpmで回転するフライホイールが内蔵されている。フライホイールを高速に回転し、ブレーキを掛けることで角運動量を生じさせることによって、キューブを回転させたり跳ねさせているのだ。また、キューブには磁石も内蔵されており、これを使ってキューブ同士がくっつくこともできる。フライホイールの制御と組み合わせることで、積み重なったキューブの塊を1つのキューブがよじ登ったり、あるいはジャンプして離れた場所にあるキューブとくっつくといった離れ業まで可能になった。
キューブが飛び跳ねるのは6年前の段階で実現されていたのだが、今回発表された2.0のポイントはキューブ同士がコミュニケートできるようになったことにある。キューブの面にはバーコードのような信号を表示することができ、それぞれのキューブはこれによってお互いを識別して協調動作を行えるようになった。コミュニケーション手段として無線などは用いていないため、システムもシンプルで信号が混線の問題もない。
研究チームによれば、システムは100万モジュールにまで拡張できるようになっており、個々のキューブの製作コストも安価に抑えられているという。火災現場で逃げ遅れた人を助ける際、キューブを配置すればハシゴを自動的に組み上げるといった使い方が想定されているそうだ。エンターテインメントから教育、障害者支援、スマートホームまで、想像が広がる。将来的に社会に入り込めるのは、協調動作するこうしたロボットの群体なのかもしれない。