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ISSの異常を事前に察知する、AIの「耳」

2020.1.28

ボッシュ社のSoundSeeは、マイクで収集した音声を機械学習によって分析し、異常を検出する。
ボッシュ社のSoundSeeは、マイクで収集した音声を機械学習によって分析し、異常を検出する。

2019年11月2日、米ヴァージニア州にあるNASAのワロップス飛行施設から、アンタレスロケットが打ち上げられた。ロケットにはノースロップグラマン社の補給機Cygnusが搭載されており、11月4日にCygnusはISSとの合体に無事成功した。
CygnusにはISS用のさまざまな備品や研究機材が積まれているのだが、その1つがボッシュ社の開発した「SoundSee」である。ランチボックスサイズのSoundSeeは、いわばAIの「耳」だ。
ISSには、サイコロのような形をした浮遊型ロボット「Astrobee」が先に着任しているが、SoundSeeはこのAstrobeeに載ってISSの中を移動する。SoundSeeには複数のマイクが備わっており、ISS内の音をひたすら収集する。問題なく稼働している時のISS内の音と、収集した音声データを機械学習によって分析し、異常につながる徴候を早い段階で見つけるのが、SoundSeeの役目だ。
センサーと機械学習を使って、設備の異常を検出するシステムはすでに実用化されているが、こうしたシステムではあくまでも、事前に設計された範囲内の異常にしか対応できない。ネットワークのトラフィックの異常を見つけるにはセンサーがネットワークに接続されていなければならないし、電気系統の異常を見つけるにはセンサーが電気系統に接続されていなければならない。
SoundSeeでは、「何かおかしな音がする」という、経験を積んだ人間に近い勘を、機械によって実現しようとしているともいえるだろう。期待通りにSoundSeeが異常を探知できることが証明できれば、ISSの宇宙飛行士が現在行っている安全確認のためのルーチン作業も省力化できることになる。
将来的には工場の点検や防犯、警備といった用途でも、こうした「耳」が活用されることになるかもしれない。

(文/山路達也)

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