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環境汚染を防ぐ、ミネラルコートの人工砂

2020.3.6

カリフォルニア大学バークレー校が開発した人工砂。鉛やカドミウムの吸着や、有機化合物の分解機能を備えている。
カリフォルニア大学バークレー校が開発した人工砂。鉛やカドミウムの吸着や、有機化合物の分解機能を備えている。

水資源の不足は、発展途上国だけに限った問題ではない。地球上の水のうち、人間が利用しやすい状態にある水は約0.01%(10万km³)に過ぎず、先進国の都市部でも天候次第で容易に水不足に陥ってしまう。
現在の水道網では、基本的に河川から取水して浄水場で処理を行い、上水道を経由して各家庭に水が届けられる。また、排水や雨水などを処理して、トイレや噴水などで循環再利用する中水道もある。
雨水は都市部の水供給において大きな役割を果たすことが期待されているが、課題は水質だ。路面や側溝を流れる雨水には、さまざまな有害物質を溶け込む。汚染物質は1種類ではなく、有毒な重金属と有機物の両方が含まれていることも珍しくない。雨水を処理して、その場で利用できるシステムを構築するのはなかなか難しいのだ。
カリフォルニア大学バークレー校のエンジニアが開発した「砂」は、都市部の水問題において大きな役割を果たす可能性がある。
この「砂」は、ごく一般的な砂粒を酸化マンガンでコーティングしたもので、鉛やカドミウムなどの有害金属を吸着する働きを持っている。さらに、有機化合物のビスフェノールAを分解する能力もある。ビスフェノールAというのは、さまざまなプラスチックの合成に使われる物質だ。
研究チームは、ロサンゼルスとカリフォルニア州ソノマでこの砂を使った処理施設を作り、実証実験を行っている。
この人工砂がうまく機能すれば、都市部に降った雨水から有害金属や有機化合物を除去して、地下帯水層にため込み、そこから取水して利用する安価なシステムが構築できることになる。駐車場など屋外にある広いスペースを使って、自律的で低コストの給水設備をつくるといったこともできるかもしれない。

(文/山路達也)

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