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「液晶内液晶」でこれまでにない電子デバイスが実現可能に?

2020.5.11

わずかな温度変化で色を変える、新たなセンサーとして使える液晶。
Image courtesy of Aecohen64
>わずかな温度変化で色を変える、新たなセンサーとして使える液晶。

今では液晶と言えば、誰でもテレビやスマホを思い浮かべるほど、身近な存在になっている。だが、液晶というのは特定の物質の名称ではない。物質を構成する分子が、固体と液体の中間のような特殊な状態にあることを指す。
固体では分子の配列ががっちりと秩序だっていて、弾性や屈折率などが方向によって異なるという異方性を持つ。液体や気体は、分子の配列が秩序だっておらず、物理的な性質はどの方向からも同じという、等方性を持っている。液晶というのは、分子の並ぶ向きはある程度秩序があるけれど、分子の位置は秩序だっていないという特徴がある。
現在の液晶ディスプレイでは、ネマチック相(「相」とは特定の分子配列を取る状態のこと)が使われている。液晶の性質を持った材料に電圧を掛けることで、棒状の分子をらせん状にねじって配列したり、戻したりする。これがシャッターになって、光を通したり遮ったりして映像を映し出す。
近年になって注目されるようになってきた液晶の相が、ブルー相だ。ブルー相では、二重螺旋構造をした液晶がシリンダー状になっており、さらにそのシリンダーが規則的に配列されるという、複雑な配列になっている。電圧を掛けていない状態では光学的に等方であるため透明だが、電圧をかけると異方性を持つようになって光を屈折させたりすることができる。
シカゴ大学のJuan de Pablo博士、Paul Nealey博士らの研究チームは、ブルー層の液晶構造内に別のブルー層液晶をリソグラフィで作る技術を開発した。こうして作られた新たな液晶は温度と電圧を操作させることで、あるタイプのブルー層から別のタイプのブルー層へと変化させられる。これによって非常に正確に光学的特性を変化──つまり、入ってきた光の色を自在に変えるといったことができるのだ。
今回作られたブルー相の液晶は、温度に合わせて瞬時に色を変化させることが可能で、ほとんどエネルギーを消費しない。新たなディスプレイやレーザー発振器、センサーなどへの応用が期待されている。

(文/山路達也)

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