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病気の徴候を見つける「スマートトイレ」

2020.6.15

スタンフォード大学のスマートトイレは、肛門の「紋」で個人を識別する。
Image: Sanjiv S. Gambhir/Nature Biomedical Engineering
>3Dプリンターによって出力された立体物。層の厚みを変化させることで、さまざまな情報を埋め込む。

排泄物は、健康状態を知るための貴重な情報源だ。たいていの健康診断では採尿、検便を行い、その分析によってさまざまな病気の徴候を見つけようとする。
では、もし採尿や検便を毎日、しかも自宅でできるとしたら? 健康状態の変化を追跡できるし、異常が見つかったらその場でユーザーに伝えることもできる。こうしたスマートトイレは、以前からいくつかのスタートアップ企業や研究機関が開発を進めている。2010年代にスマートホームが話題になった時も、健康にフォーカスしたスマートトイレは目玉の1つになっていた。
スタンフォード大学Sam Gambhir博士らの研究チームが開発中のスマートトイレは、一般的な陶磁器製の便器にアドオンするデバイスだ。尿と便を動画撮影し、尿の流量や便の状態を計測する。単純に尿や便の外観を計測するだけでなく、成分等の分析機能も備えている。白血球数や特定のタンパク質の量も測れるようになっており、こうしたデータを元に感染症や膀胱がん、腎不全といった病気の徴候を検知できるという。計測されたデータは、暗号化されてクラウド上にアップロードされる。
ただし、このスマートトイレで最も驚かされるのは、個人認証機能かもしれない。データを分析するためには、計測された尿や便を特定のユーザーと紐付ける必要がある。使う時にいちいちユーザーを選択させるのは手間なので、このトイレの水洗レバー部分には指紋認証機能が付いているが、もし誰かが流し忘れていたりしたら困ることになる。
この問題を解決するために研究チームが開発したのが、肛門認証機能だ。小型のカメラによって肛門を撮影し、その紋の違いによって個人を識別するのだという。スマートトイレは現在開発中だが、研究チームは300〜600ドル程度の価格になると予想している。

(文/山路達也)

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