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切っても自然につながる、自己修復能力複合材料

2020.8.24

MWCNTs-PBSを使ったコンセプトの一例。失恋して割れた心臓は、6時間後に完治する。 ©Morphing Matter Lab, Human-Computer Interaction Institute, School of Computer Science, Carnegie Mellon University
MWCNTs-PBSを使ったコンセプトの一例。失恋して割れた心臓は、6時間後に完治する。

ロボティクスや素材分野では、自己修復能力を備えたマテリアルに注目が集まっている。カーネギーメロン大学と東京大学の研究チームが開発したのは、ポリボロシロキサン(PBS)と多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)を複合した、MWCNTs-PBSと呼ばれる素材だ。
MWCNTs-PBSで作られたものを分割してから、切断面を合わせると、自然に接合が始まり、6時間ほどすればつなぎ目も完全になくなってしまう。MWCNTs-PBSは電気的な自己修復性も持っており、布やシリコンなどと組み合わせることで、さまざまな応用が可能になる。
研究チームはMWCNTs-PBSを使った応用例をいくつか提案しているのだが、これらはいずれも非常にSFチックで興味深い。例えば、変形型ソフトコントローラーは形状やモジュールの数を動的に変化させられるというもの。ゲームを遊ぶ時にコントローラが足りなかったら1つのコントローラを分割したり、体に巻き付けて遊ぶといったことが可能になる。
また、MWCNTs-PBSを使ってダメージセンサーを作れば、損傷具合を計測しつつ、自己修復も可能な、ソフトロボットの皮膚が作れる。さらに、MWCNTs-PBSを使った空気式アクチュエータなら、後から動きを再構成できるソフトロボットも実現可能だ。
半導体を搭載したデバイスは硬いものというのが今の常識だが、柔らかくて自己修復できる素材を使えば、これまでにない生物的なデバイスが生まれてくる。
将来的なソフトロボットの可能性はもちろんだが、壊れにくくいろんなものを作れる玩具としての活用も面白そうだ。

(文/山路達也)

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