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データが改ざんされると⾃⼰消去する
セキュリティチップ
2020.12.24
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現代の情報化社会において、データの漏えいや改ざんは、データの所有者や利用者にとって致命的なダメージになる。厄介なのは、リアルな物質と違い、デジタルデータは漏えいや改ざんされても気づかれにくいということ。通信の分野では、暗号の秘密鍵を量子暗号で送り、誰かがデータを盗聴しようとしても読み出せなくする「量子暗号通信」の実用化が近づいている。
電子機器についても盗聴や改ざんのリスクが高まっている。例えば、一見正常に動作しているように見えるデバイスが、実は改造されていて第三者にデータを不正送信するようになっているということもありえるのだ。これまでにも大手メーカーのハードウェア製品に不正なチップが搭載されているという報道があったほか、PCを遠隔操作可能にするUSBケーブルも登場している。
ミシガン大学が開発したのは、自己消去型チップ(A self-erasing chip for security and anti-counterfeit tech | University of Michigan News)。紫外線に反応して収集するアゾベンゼン分子の薄膜上に、3原子分の厚みの半導体が重なっている。アゾベンゼン分子が半導体を引っ張ると、その部分の光の波長が変化するようになっている。紫外線で書かれたメッセージは、現在のところ7日間で自己消去するほか、青い光のフラッシュを当てて消すこともできる。こうした見えないマーキングがされていれば、不正にチップが開封されたり、交換されたりしていないかの手がかりになる。
研究チームによれば、今後マーキングの寿命が延びれば、認証キーとしてデバイスに書き込むといった使い方も可能になるという。チップが不正に操作されていれば、半導体内のデータを消去するといったこともできるようになるわけだ。