No.018 特集:スマートコミュニティと支える技術

No.018

特集:スマートコミュニティと支える技術

Visiting Laboratories研究室紹介

専門性を武器として、自らの未来を切り拓く

TM ── 小野田研究室で得たものは何でしょうか。

小川 ── 税金の使われ方についての学びでしょうか。廃棄物処理について現実に稼働している施設の調査をしていくと、お金の問題が見えてきました。発電所、ごみ処理施設、下水処理施設に、どれだけの税金が投入されているのか。数字で掴めるようになると、普段は目に見えないところに多くの税金が使われていることがよくわかります。こうした金銭感覚は、将来事業を進めていく際には欠かせないものだと思います。

宮原 ── 学部時代に卒論を書き上げて感じたことが2点あります。第1は、研究に対する取り組み方で、研究は主体的にやらなければならないということ。先生は細かく指示を出されることはなく、大まかな方針を示して、後は僕たちに任せてくれます。逆にいえば、主体性を発揮しなければ研究は進みません。第2は、以前はどうしても機械屋の発想で物事を考えていましたが、現実的にものごとを動かしていくためには、機械を動かす人たちのことや、そこで必要なコストまで含めて考える必要のあることを学びました。

TM ── 小野田先生ならではの「学び」は何でしょうか。

小川 ── いろいろな局面における話の仕方、筋の通し方です。先生は本当に話がうまく、相手に疑問を感じさせないように話します。そのポイントは、背景や目的などを素人にもわかるようにていねいに話すことでしょう。いま実際にある自治体にコンサルタントとして関わっていますが、そこで企業と行政の仲立ちをする際にも、両社の立場を踏まえた話をされます。だから説得力が違ってくるのだと学んでいます。

宮原 ── 教授であり、同時にコンサルタントとしてビジネスも重視されている先生は、事業の成否を数字で判断されています。それも見えない価値、失敗例の活かし方までを踏まえて考えられている。コストに関しても単に下げるのではなく、下げるプロセスの重要性を話されます。プロセスをきめ細かく検証することで、プロジェクトの動き方が違ってくる。このことを先生と一緒に動くことで学びました。

宮原 樹さん

TM ── 今後についてはどのように考えていますか。

小川 ── 大学院に進学して、あと2年は小野田研究室に残ります。先生が取り組んでいるテーマ、例えば廃棄物処理施設の集約などは、人口減少にともなって必然的に向き合わなければならないテーマです。これに関連する専門性を養っておけば、将来どの分野に進むにしても、必ず通用すると考えています。

小川 ── 修士論文を書いたら就職する予定です。環境配慮をアピールする企業は多いけれども、どちらかといえばパフォーマンス的な要素が強く、本質が捉えられていない感じです。具体的にどの業種と決めているわけではありませんが、どこに進むにせよ、そうしたパフォーマンス的な要素を、より本質的な動きに変えていきたい。そこに自分が活躍できる余地があると考えています。

Profile

小川 聡久さん

小川 聡久(おがわあきひさ)さん

1997年生まれ。早稲田大学創造理工学部総合機械工学科4年。

2018年早稲田大学創造理工学部総合機械工学科在学。2019年度早稲田大学 大学院環境・エネルギー研究科進学予定。人口減少社会に対応した廃棄物エネルギーの利活用システムに関する研究に従事。

宮原 樹さん

宮原 樹(みやはら いつき)さん

1995生まれ。2017年度早稲田大学創造理工学部総合機械工学科卒業。

早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科在学。木質バイオマスのガス化発電に関する研究に従事。

Writer

竹林 篤実(たけばやし あつみ)

1960年生まれ。ライター(理系・医系・マーケティング系)。

京都大学文学部哲学科卒業後、広告代理店にてプランナーを務めた後に独立。以降、BtoBに特化したマーケティングプランナー、インタビュワーとしてキャリアを重ねる。2011年、理系ライターズ「チーム・パスカル」結成、代表を務める。BtoB企業オウンドメディアのコンテンツライティングを多く手がける。

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