Visiting Laboratories研究室紹介
住民参加の商品開発手法を日本に広げる
![]() |
TM ── この研究室を選んだ理由を教えて下さい。
岡村 ── 街づくりに興味があり、都市計画や地域密着型の研究など、専門的な研究が行える北詰研究室を選びました。大学3回生の頃、研究室訪問をした際に、北詰研究室の思いっきり和気あいあいとした雰囲気や先生の人を引き付ける人間性に惹かれたのも、この研究室を選んだ理由の一つです。
TM ── 今、どのような研究に取り組んでいるのですか。
岡村 ── リビングラボと呼ぶ、新しい商品やサービスの開発手法の研究をしています。リビングラボは、様々なステイクホルダーがお互いに連携し合って新しいモノやコトを生み出す共創による商品開発に、住民が参加する点が特徴です。開発に、商品のユーザーである住民が参加することで、住民自らでさえ気づいていない潜在的ニーズを開発者がくみ取り、新たな価値を持つ商品を生み出すことができるようになります。海外では行われている手法なのですが、日本ではあまり実践されていません。海外の成果を整理し、日本に適用していくための方法を研究しています。
TM ── 研究の成果をどのようなことに役立てようと思われていますか。
岡村 ── かなり先の話になるかもしれませんが、私が今研究しているリビングラボの日本版ツールボックスが完成すれば、日本におけるリビングラボの活用が促進されて、日本発のイノベーションが生まれやすくなると考えています。その他にも、近年、商品やサービスの開発プロセスに利用者のニーズを組み込むことに注目が集まっていますが、それを実践する際の仕組みの雛形を完成させたいと思っています。
TM ── 北詰研究室で得られたものは何ですか。
岡村 ── 北詰研究室では、まず私たち学生が研究についての意見を語り、それを受けて先生が適切なアドバイスを与えてくれます。自分の意見を考えることが習慣になり、行動力が高まったと感じています。また、研究が行き詰った際にも研究がしやすい環境です。私が取り組んでいる研究テーマは、日本ではあまり前例がありませんから、正直、分からないことがたくさんあるので、心強く感じます。加えて、研究の過程で様々な方々と接する機会が多いので、社会人としての振る舞いやマナーなども身に付いたように思えます。
TM ── 今後は、どのようなことに取り組んでいきたいと考えていますか。
岡村 ── 目標は、現在進めている研究を学会などで発表して、リビングラボを普及させて、最終的には、日本でのイノベーションを加速させることです。
-
第1部:
関西大学 環境都市工学部
都市システム工学科
社会資本計画研究室 教授
北詰 恵一
-
第2部:
関西大学大学院 環境都市工学部 都市システム工学科 社会資本計画研究室
修士課程2年 瀧谷 大登さん、
修士課程1年 岡村 雄介さん
Profile

瀧谷 大登(たきたに ひろと)さん
関西大学大学院 理工学研究科 環境都市工学専攻 修士課程2年
1996年生まれ。2019年3月の関西大学環境都市工学部都市システム工学科卒業、
2019年4月関西大学大学院理工学研究科環境都市工学専攻入学、現在にいたる。

岡村 雄介(おかむら ゆうすけ)さん
関西大学大学院 理工学研究科 環境都市工学専攻 修士課程1年
1997年生まれ。2020年3月の関西大学環境都市工学部都市システム工学科卒業、
2020年4月関西大学大学院理工学研究科環境都市工学専攻入学、現在にいたる。
Writer
伊藤 元昭(いとう もとあき)
株式会社エンライト 代表
富士通の技術者として3年間の半導体開発、日経マイクロデバイスや日経エレクトロニクス、日経BP半導体リサーチなどの記者・デスク・編集長として12年間のジャーナリスト活動、日経BP社と三菱商事の合弁シンクタンクであるテクノアソシエーツのコンサルタントとして6年間のメーカー事業支援活動、日経BP社 技術情報グループの広告部門の広告プロデューサとして4年間のマーケティング支援活動を経験。
2014年に独立して株式会社エンライトを設立した。同社では、技術の価値を、狙った相手に、的確に伝えるための方法を考え、実践する技術マーケティングに特化した支援サービスを、技術系企業を中心に提供している。