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ドローンを使って、仮想ショッピングをもっとリアルに

2019.5.20

ユーザーが仮想空間のハンガーを動かすと、それに応じてドローンが移動し、ユーザーに触覚を伝える。
©Stanford University
ユーザーが仮想空間のハンガーを動かすと、それに応じてドローンが移動し、ユーザーに触覚を伝える。

ヘッドマウントディスプレイを装着してVRを体験すること自体はもうそれほど珍しくはなくなってきたが、視覚だけのVRでは臨場感が足りない。
仮想空間での臨場感を増すために、昔から研究されてきたのが触覚フィードバックだ。代表的なものとしては、手袋型デバイスがある。手袋内部に振動子が多数装着されていて触覚を伝えるものなど、さまざまなデバイスが試行されている。
最近の触覚フィードバックのトレンドとして注目されているのが、ドローンを使った方式だ。本誌でも以前、触覚フィードバックを使って、遠隔地のドローンを自分の手足のように操縦という研究を紹介したが、これは超小型ドローンを仮想的な「腕」として使うものだ。
一方、スタンフォード大学のParastoo Abtahi博士らは、ショッピングに特化した仮想ショッピングシステムHoverHapticsを発表した。
ヘッドマウントディスプレイとマーカー付きの手袋を装着したユーザーの動きを、外部カメラで追跡。ユーザーの手の動きに応じて、ドローンを移動させたりその場でホバリングさせたりする。デモでは、ハンガーやテクスチャを付けたドローンをユーザーがつかんで移動させる様子が紹介された。ドローンの動きを仮想空間のオブジェクトと同期させることで、ユーザーは仮想空間のオブジェクトの重さや手触りを感じながら、仮想ショッピングが楽しめるという。
HoverHapticsはドローンを使うためにそれなりの空間を必要とするが、店内にない商品を客に試着してもらうなど、リアル店舗と仮想店舗を組み合わせた新しいショッピング体験を提供できそうだ。映画『レディ・プレイヤー1』で描かれた未来は、私たちが思っている以上に近くに来ているのかもしれない。

(文/山路達也)

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