No.021 特集:デジタルテクノロジーが拓くエンターテインメント新時代

No.021

特集:デジタルテクノロジーが拓くエンターテインメント新時代

連載01

5Gの性能を左右する半導体とは何か?

Series Report

1G~4Gと5Gとの違い

1Gから5Gまではテクノロジーの進展も大きく貢献した。1Gのアナログ電話では、1回線を1ユーザーが占有していたため、多数の人が使えるようにするためには回線数を増やすしかなかった。これではコストがかかり、配線が何本あっても足りない。2Gのデジタル方式になると、1回線上で複数のユーザーが同時に話すことができるようになった。例えば3人同時に話していても、一人ずつ順番に少しずつ話を区切っても、人間の耳はみんなが同時に話しているように聞こえる。デジタルのメリットの一つは圧縮できることであり、ユーザーをもっと多数収容できるようになる。通話だけなら、音声をデジタルに変換し、圧縮することで大勢の人が同時に話すことができるようになるのだ。デジタル電話ではデータ速度を上げれば上げるほどたくさんの人の通話が可能になるため、データ速度はどんどん上がるようになってきた。

3G以降、さらに高速性が高まると、通話よりもデータ通信が伸びるようになってきた(図4)。データ通信とは、音声通話ではなく、メールなどのテキストや写真、動画などのデジタルデータを通信させることのできる技術のことだ。現在、SNSによるコミュニケーションが普及したのはこのデータ通信のおかげだ。しかし、写真や動画、オーディオのような重いファイルを転送するなら、データ速度をもっと上げなければ、みんなが同時に使えない。そこで4Gの超高速通信へとさらに進んできた。

[図4]スマホがデータレートを加速してきた。
出典:Ericsson
スマホがデータレートを加速してきた。

ところが、SNSが身近に普及してくることで、みんながオリンピックやコンサートなどのイベントで撮影した写真や動画をアップロードするようになってきた。数百人、数千人規模で一斉に重いファイルをアップするようになれば、さすがの4G超高速通信でさえ、通信回線がパンクしてしまう恐れがある。これに備えようという動きが5G通信なのだ。現在の5Gは周波数が6GHz以下のサブ6GHzなので、東京オリンピック/パラリンピックにはまだ十分に対応できていない。このため、高速のWi-Fi通信もスタジアムでは共用することをNTTドコモは勧めている。

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