No.016 特集:宇宙ビジネス百花繚乱

No.016

特集:宇宙ビジネス百花繚乱

連載01

デジタル時代で世の中はどう変わるのか

Series Report

半導体業界では、ウーバー化に対してM&Aで対処しようとしており、2015年と2016年には大型買収がいくつもあった(図3)。例えば、ソフトバンクがCPUコアの大手ARM社を3兆円強で買収したのをはじめ、クアルコム社がNXP社を、インテル社がアルテラ社を、アバゴ社がブロードコム社を、アナログデバイセズ社がリニアテクノロジー社を、といった具合に買収が盛んだ。2017年にも、ブロードコム社がクアルコム社に買収提案を仕掛けたが、これはクアルコム社側が反対したため敵対的買収となり、まだ決着がついていない。

[図3] 半導体のM&Aは2015-16年に集中
出典:IC Insights
半導体のM&Aは2015-16年に集中

デジタル化は、ウーバー化を生み出したが、デジタルトランスフォーメーションはむしろこれから本格化する。インダストリー4.0は、デジタルトランスフォーメーションの初期段階であり、工場内装置や設備の自律化が中心だ。データに価値を持たせるためのAIによる解析、装置間のコネクティビティから工場間のコネクティビティ、設計段階での徹底したシミュレーションによる無駄のない効率的な工場の立ち上げといったことが可能になる。

また、工場でもオフィスでもペーパーレスが叫ばれて久しいが、いまだに紙はなくならない。ところが、先進的な工場はもはや紙をシャットアウトしている。必要な情報は電子データで取得し、社員の活動データでさえも格納できるようになった。

オフィスでは、ソフトウエアロボットRPA(ロボティックプロセスオートメーション)を使い、顧客からの問い合わせに対して自動的に返信メールを送ることも可能だ。また、エクセルやpdf、ワード、ファックスなど異なるフォーマットでやってくる問い合わせを、決まったフォーマットに入力し直す作業も自動化している。

今後AIによるデータ解析や学習を通して、自律的に自動化すれば、さらにデジタル化を推進できるだろう。

[ 参考資料 ]

1.
市川衛「高齢ドライバーの事故は20代より少ない 意外と知らないデータの真実」
YAHOO Japan ニュース(2016/11/20)
2.
IBM C-Suite Study「境界線の再定義」、2015年版
global-business-services-c-suite-ci-brochure-cib12349jpja-20171214.pdf
3.
Facebook Is Helping Intel Build Its First AI Chip, Forbes, October 17, 2017
https://www.forbes.com/sites/aarontilley/2017/10/17/facebook-is-helping-intel-build-its-first-ai-chip/#414883bab530

Writer

津田 建二(つだ けんじ)

国際技術ジャーナリスト、技術アナリスト

現在、英文・和文のフリー技術ジャーナリスト。
30数年間、半導体産業を取材してきた経験を生かし、ブログ(newsandchips.com)や分析記事で半導体産業にさまざまな提案をしている。セミコンポータル(www.semiconportal.com)編集長を務めながら、マイナビニュースの連載「カーエレクトロニクス」のコラムニスト。

半導体デバイスの開発等に従事後、日経マグロウヒル社(現在日経BP社)にて「日経エレクトロニクス」の記者に。その後、「日経マイクロデバイス」、英文誌「Nikkei Electronics Asia」、「Electronic Business Japan」、「Design News Japan」、「Semiconductor International日本版」を相次いで創刊。2007年6月にフリーランスの国際技術ジャーナリストとして独立。書籍「メガトレンド 半導体2014-2023」(日経BP社刊)、「知らなきゃヤバイ! 半導体、この成長産業を手放すな」、「欧州ファブレス半導体産業の真実」(共に日刊工業新聞社刊)、「グリーン半導体技術の最新動向と新ビジネス2011」(インプレス刊)など。

http://newsandchips.com/

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