No.018 特集:スマートコミュニティと支える技術

No.018

特集:スマートコミュニティと支える技術

連載01

半導体チップの再生可能エネルギーへの応用

Series Report

風力発電は交流から直流、そして商用電源へ変換

今、急速に増えつつある風力発電だが、これは風の力で発電機を回して電力を起こす。そのため、回転しやすいようにボールベアリング機構を利用する軸受けは、重要な部品の一つである。これまで回転数はギアボックスによって変えていたが、最近ではギアボックスだけではなく、インバーターも使って回転数を変える方法が出てきている。効率よく制御しようとすると、やはり半導体エレクトロニクスを使う方が制御しやすいからだ。最終的には出力電力を商用電源(日本なら100Vで50Hzあるいは60Hz)に変換しなければならないため、必ず半導体エレクトロニクスを使うことになる。

風車の回るゆっくりとした速度を商用電源の50Hzないし60Hzに変換するためには、ギアボックスで回転数を変えるだけでは精度よく変換することが難しい。風の速度の変化が大きいからだ。このため、風の速度が、例えば風速10m/秒から25m/秒へと変化しても回転が安定するように、いったん直流に変換し、風速の影響を除去する。そのあとで、50Hzないし60Hzの交流に変換しているのだ。

直流から交流に変換する場合、3相交流に変換するのが最も効率が高い。しかしその分、半導体が3組必要となるためコストが高くなると思われがちだ。ところが、風力発電全体のコストで見れば、ギアボックスや昇圧するためのトランスがいらなくなるため、効率が上がり、しかも安くなるようだ(参考資料1)。富士電機は風力発電の3つの方式を比較しているが(図1)、半導体エレクトロニクスを多用する方が効率は高く、かつコストも安いと見積もっている。

[図1] 風力発電を制御する3つの方法
出典:富士電機
風力発電を制御する3つの方法

一般にエレクトロニクスの世界では、交流から直流へ変換するものをコンバーターといい、直流から交流へ変換するものをインバーターということが多い。また、直流から直流へ変換するものもコンバーターと呼ぶ。交流から直流へ変換するものとして、典型的にはトランスや整流ブリッジ、コイルやコンデンサがあるが、単純に変換すると直流といっても多少揺らいだ曲線を描く。例えば12Vといっても、直線ではなく曲線になるのだ。そこで直線の直流電圧を得るために、半導体で制御する必要がある。

インバーターのように直流から交流に変換する場合には、トランジスタでオン・オフのスイッチング動作が必要である。コイルやコンデンサは(図2)、交流の時しか役割を果たさないからだ。コイルは、被覆した金属線をある材料の周りにただ巻いている部品である。直流であれば、金属だから抵抗は小さいままだ。しかし電流を流す向きを交互に変える――すなわち交流にすると、コイルに溜めたエネルギーが出たり入ったりするため交流抵抗になる。そして、交互に変える頻度(周波数)を変えると、交流抵抗値(インピーダンス)も変わる。

[図2] コイル(左)とコンデンサ(右)の役割
コイルは細い線を巻き付けたもので、交流を流すと抵抗になる。コンデンサは二つの金属板で絶縁体を挟んだ構造をしている
作成:津田建二
コイル(左)とコンデンサ(右)の役割
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