No.024 特集:テクノロジーは、これからのハピネスをどう実現できるのか

No.024

特集:テクノロジーは、これからのハピネスをどう実現できるのか

連載02

ニューノーマル時代にチャンスとなるテクノロジー

Series Report

半導体企業の活動

半導体が必要不可欠な産業であることを認めさせてからは、半導体工場の稼働が停止したことはなく、継続している。これを受けて半導体産業と大学は、医療機器の開発に力を入れるようになった。

例えば新型コロナでの医療崩壊を防ぐ手段の一つとして、人工呼吸器(図3)を大量に作るため技術の公開が行われ、早速開発キットやボードを提供するメーカーも現れている。また、時間のかかるPCR検査や抗体検査の迅速化にも半導体や組み込み産業がアイデアを出し開発を進めている。

[図3]人工呼吸器 正面の穴に吸込みと掃き出しの管を付け、患者に装着する
出典:Medtronic
人工呼吸器 正面の穴に吸込みと掃き出しの管を付け、患者に装着する

手でタッチ入力するようなデバイスを見直す動きも出ている。ジェスチャー・タッチレス・音声入力などを使う技術だ。タッチセンサを使うHMI(Human-Machine Interface)は、スマートフォンやタブレットだけではなく、パソコンやカーナビゲーションなどのデバイスでも大量に出回るようになっていた。しかし、新型コロナが広まる現在、自分のデバイス以外は触れたくない。そこで求められるのが、ジェスチャーや音声入力などにより、デバイスにタッチせずにマシンに入力することができるテクノロジーだ。

Bluetoothを使った感染経路を追跡する技術も生まれた。従来のBluetoothビーコンだと誤差は1~2メートルもあったが、新しいセンチメートル単位の高精度の誤差で位置を発見する技術が開発されている。また、大学での研究成果だが、患者に全く触れずに心電図や呼吸動作をリアルタイムで観察する技術も登場し、医療従事者からも喜ばれている。

最後にテレワーク需要が今まさに立ち上がっている。スマートフォンとクルマの売れ行きが大きく落ち込んでいる一方で、パソコンはプラス成長で伸びている。サーバーもクラウドを構成するデータセンターで伸びており、それらの使うメモリやプロセッサの出荷も増えている。

連載2回目と3回目では、医療機器、タッチレス分野や、ジェスチャーHMI、感染経路探索、無線診断、そしてテレワーク需要などの各分野のテクノロジーについて紹介する。

Writer

津田 建二(つだ けんじ)

国際技術ジャーナリスト、技術アナリスト

現在、英文・和文のフリー技術ジャーナリスト。
30数年間、半導体産業を取材してきた経験を生かし、ブログ(newsandchips.com)や分析記事で半導体産業にさまざまな提案をしている。セミコンポータル(www.semiconportal.com)編集長を務めながら、マイナビニュースの連載「カーエレクトロニクス」のコラムニストとしても活躍。

半導体デバイスの開発等に従事後、日経マグロウヒル社(現在日経BP社)にて「日経エレクトロニクス」の記者に。その後、「日経マイクロデバイス」、英文誌「Nikkei Electronics Asia」、「Electronic Business Japan」、「Design News Japan」、「Semiconductor International日本版」を相次いで創刊。2007年6月にフリーランスの国際技術ジャーナリストとして独立。著書に「メガトレンド 半導体2014-2024」(日経BP社刊)、「知らなきゃヤバイ! 半導体、この成長産業を手放すな」、「欧州ファブレス半導体産業の真実」(共に日刊工業新聞社刊)、「グリーン半導体技術の最新動向と新ビジネス2011」(インプレス刊)などがある。

http://newsandchips.com/

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