No.023 特集:テクノロジーで創る、誰も置き去りにしない持続可能な社会

No.023

特集:テクノロジーで創る、誰も置き去りにしない持続可能な社会

Visiting Laboratories研究室紹介

ICTを使ったスマート農業

野口 伸教授

野口 ── この農業の生産性と畑や作物の問題を解決するためには、小さな機械をたくさん使うようにすればよいのです。つまり無人ロボットです。すると次はその無人ロボットをどうコントロールするか、という問題が出てきます。これを研究している訳です。

TM ── そうするとAIの導入が必要となりますね。

野口 ── ビッグデータ、IoT、AIを使ったロボットですね。これらを利用することによって、ソサエティー5.0にちなんで農業のソサエティー5.0が持続的社会の実現に重要になってきます。

とはいっても日本でそれを行うのは大変です。北海道は平らな所が多いですが、本州では山中や山間のような斜面で畑を営むことが多いのです。しかし、このような土地にこそ、小さなロボットを導入することが問題解決の決め手になると信じています。

TM ── 先生の話を伺っていますと、建機メーカーと相通じることがあるような気がします。企業とも手を組まれていますか。

野口 ── 建機業界とは直接一緒にやっていませんが、情報交換は行っています。建機業界では、ICTを活用した無人施工が先端を走っています。同様に屋外で動く機械という点で、研究室を見に来られる建機メーカーもいらっしゃいます。研究室からの卒業生も建機メーカーにおります。GPSはじめIT施工の主要な技術を有している企業とは一緒に研究しています。作っているものは違いますが、当研究室と共通する技術を持っている企業・研究機関は多いです。

チャレンジする人間に育ってほしい

TM ── これまで伺った先生のフィロソフィは、4年の学生を受け入れる時にお話しされるのですか。

野口 ── 北大では、学部の2年生から各学科に分かれるのですが、その30名の学科の学生に対して必修科目として、授業を受け持っています。研究室の看板講義と呼んでいるのですが、私の研究室の取り組みやモチベーションに関してわかりやすく説明しています。その後、研究室に分かれるのですが、その2年生の時の話を参考にして研究室に分属してくる学生もいるようです。

TM ── 先生のフィロソフィに共鳴してこられる学生が多いのでしょうね。

野口 ── そう言い切れるのかどうかわかりませんが、そういう想いで研究しているのを見ていただいているのではないかと思います。

TM ── どのような学生を世に送りたいと思っていますか?

野口 ── チャレンジする学生を育てたいと考えています。一般的な学生は、私の学生のころと比べてまじめで賢いのですが、諦めることが早いようです。粘り強く取り組んでほしいと思います。そうでないと人間はなかなか成長しないので。

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